古代地中海世界で栄華を誇ったイタリアには、その繁栄と交流を物語る多くの美術作品が残されています。本年度の連続文化セミナーでは、マグナ・グラエキアの美術から、ローマ美術、初期キリスト教美術まで、様々な作品から古代のイタリアを読み解いていきます。 作品に織り込まれた、歴史、文学、宗教、社会などの要素も交えながら、美術が伝える芳醇な古代世界をわかりやすくお伝えします。 | |||||||||||||||||||||||||
第3回 ローマ皇帝の饗宴とギリシア神話 ― ティベリウス帝とスペルロンガの洞窟彫刻 ― ローマとナポリの中間に位置する海岸沿いの景勝地スペルロンガには、ティベリウス帝が所有していたといわれる海浜別荘があります。 この別荘には、洞窟を利用した夏用の屋外トリクリニウム(饗宴のための空間)が設けられており、一つ目巨人ポリュフェモスや海の怪物スキュラが登場するオデュッセウスの船旅冒険譚を中心とした神話場面が、大理石の彫像群によって表現されています。 本講義では、配された彫像の様式や制作年代にまつわる美術史学的問題をはじめ、地中海の洞穴を舞台とした文学的神話地誌の三次元的空間への再現、オデュッセウス神話を追体験するローマ建国の祖アイネイアスへの当時のローマの教養人たちの共感、そしてロドス島やカプリ島で長い隠遁生活を送った皇帝ティベリウス帝の演出意図など、趣向を凝らしたスペクタクル空間がいかに創造されたのか、近年の研究動向を踏まえながら、検証していきます。 | |||||||||||||||||||||||||
<講師プロフィール> 瀧本 みわ(たきもと みわ) 筑波大学・日本学術振興会特別研究員PD。パリ・ソルボンヌ大学大学院博士課程修了。博士(美術史)。専門は、古代ローマ美術史。特に、北アフリカを中心とした古代末期・初期キリスト教美術。
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