古代地中海世界で栄華を誇ったイタリアには、その繁栄と交流を物語る多くの美術作品が残されています。本年度の連続文化セミナーでは、マグナ・グラエキアの美術から、ローマ美術、初期キリスト教美術まで、様々な作品から古代のイタリアを読み解いていきます。 作品に織り込まれた、歴史、文学、宗教、社会などの要素も交えながら、美術が伝える芳醇な古代世界をわかりやすくお伝えします。 | |||||||||||||||||||||||||
第2回 アカンサス装飾とローマ美術 アカンサスは、パルメットとともに古代世界において最も重要な装飾モティーフといえます。 コリントス式柱頭の考案の起源について語るウィトルウィウスの逸話が有名ですが、ギリシア起源のこのモティーフは、ローマ美術において圧倒的な存在感を持ちました。 未開墾の地に生命力旺盛に繁茂するこの植物は、ローマ世界独自の象徴性を担い、アウグストゥス帝へ捧げられた「アラ・パキス(平和の祭壇)」では端正な古典的アカンサスつる草がローマ的世界観を表出している一方で、住居壁画などでは、アカンサスつる草はさまざま仮想的造形を取り込んでいわゆる「グロテスク」装飾を豊かに創造します。 その後中世へと引き継がれるこの植物装飾は、本来の形態と象徴性は忘却されながらも、あらゆる美術に遍在します。 時に「古代再生」を目指す美術では、比類ない「古代」の装飾としてあざやかに復活します。 | |||||||||||||||||||||||||
<講師プロフィール> 奈良澤 由美(ならさわ ゆみ) 城西大学教授。東京大学文学部美術史学科修士課程修了後、フランス国エクス=マルセイユ大学にて博士号を取得。専門はフランス・地中海の古代末期~初期中世の考古学・美術史。単著: Les autels chrétiens du Sud de la Gaule : 5e – 12e siècles(Brepols Publisher、辻荘一三浦アンナ賞、地中海学会ヘレンド賞、日本学士院賞)。
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その他の回は以下の日程(時間帯・受講料・会場は本セミナーに同じ)・テーマで開催いたします。
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