2018年イタリア連続文化セミナー     イタリアの古代美術
第2回 アカンサス装飾とローマ美術

文化 日本語

古代地中海世界で栄華を誇ったイタリアには、その繁栄と交流を物語る多くの美術作品が残されています。本年度の連続文化セミナーでは、マグナ・グラエキアの美術から、ローマ美術、初期キリスト教美術まで、様々な作品から古代のイタリアを読み解いていきます。

作品に織り込まれた、歴史、文学、宗教、社会などの要素も交えながら、美術が伝える芳醇な古代世界をわかりやすくお伝えします。


第2回 アカンサス装飾とローマ美術

ローマ、アラ・パキス 西面装飾細部


アカンサスは、パルメットとともに古代世界において最も重要な装飾モティーフといえます。

コリントス式柱頭の考案の起源について語るウィトルウィウスの逸話が有名ですが、ギリシア起源のこのモティーフは、ローマ美術において圧倒的な存在感を持ちました。

未開墾の地に生命力旺盛に繁茂するこの植物は、ローマ世界独自の象徴性を担い、アウグストゥス帝へ捧げられた「アラ・パキス(平和の祭壇)」では端正な古典的アカンサスつる草がローマ的世界観を表出している一方で、住居壁画などでは、アカンサスつる草はさまざま仮想的造形を取り込んでいわゆる「グロテスク」装飾を豊かに創造します。

ローマ、
サン・クレメンテ教会
アプシス


その後中世へと引き継がれるこの植物装飾は、本来の形態と象徴性は忘却されながらも、あらゆる美術に遍在します。

時に「古代再生」を目指す美術では、比類ない「古代」の装飾としてあざやかに復活します。

<講師プロフィール>
 奈良澤 由美(ならさわ ゆみ) 
城西大学教授。東京大学文学部美術史学科修士課程修了後、フランス国エクス=マルセイユ大学にて博士号を取得。専門はフランス・地中海の古代末期~初期中世の考古学・美術史。単著: Les autels chrétiens du Sud de la Gaule : 5e – 12e siècles(Brepols Publisher、辻荘一三浦アンナ賞、地中海学会ヘレンド賞、日本学士院賞)。

申込名開催日時間会場参加費*備考
S-AA25/23(水)18:30
~20:00
青山石川
記念ルーム
201
会員2,000円
一般3,000円

その他の回は以下の日程(時間帯・受講料・会場は本セミナーに同じ)・テーマで開催いたします。
日伊協会会員の方は、第1回から第5回までの全セミナー5回分を一括ご入金の場合、通常10,000円のところ8,000円とさせていただきます。申込名は「S-AAT」でお申し込み下さい。

申込名回数開催日テーマ講師
S-AA1第1回4/20(水)ローマ以前の古代イタリア
に展開したギリシア美術
―パエストゥムを中心に―
篠塚 千惠子
(武蔵野美術大学
教授)
S-AA3第3回6/22(金)ローマ皇帝の饗宴と
ギリシア神話 
― ティベリウス帝と
スペルロンガの
洞窟彫刻 ―
瀧本 みわ
(日本学術振興会
特別研究員PD・
筑波大学)
S-AA4第4回7/13(金)ピアッツァ・アルメリーナの
ヴィッラの舗床モザイク
― 図像、表現、役割に着目して―
坂田 道生
(千葉商科大学
非常勤講師)
S-AA5第5回8/3(金)古代異教美術から
初期キリスト教美術へ
― ローマのサンタ・
コスタンツァ聖堂を中心に ―
伊藤 怜
(東京造形大学
非常勤講師)