古代地中海世界で栄華を誇ったイタリアには、その繁栄と交流を物語る多くの美術作品が残されています。本年度の連続文化セミナーでは、マグナ・グラエキアの美術から、ローマ美術、初期キリスト教美術まで、様々な作品から古代のイタリアを読み解いていきます。 作品に織り込まれた、歴史、文学、宗教、社会などの要素も交えながら、美術が伝える芳醇な古代世界をわかりやすくお伝えします。 | |||||||||||||||||||||||||
第1回 ローマ以前の古代イタリアに展開したギリシア美術― パエストゥムを中心に ― ローマに統一される前の古代イタリアにはさまざまな住民が活動していました。中部イタリアのエトルリア人と並んで、先進的な文化によって際立っていたのが、南イタリアとシチリア島に早くから多くの都市を建設していたギリシア人です。 彼らがこの地にもたらしたギリシア美術は周辺の住民に大きな影響を与えましたが、ギリシア人もまた異文化に触れて自身の文化を変容させ、本土ギリシアのそれとはいくぶん異なる性格をもった美術―マグナ・グラエキア(大いなるギリシア)美術―を花開かせました。 本講義の前半では、ローマ以前の古代イタリアの住民たちの動向を把握しながら、マグナ・グラエキア美術の特徴を概観します。 後半では、保存の良い神殿遺構と発掘遺品に富むパエストゥム(ギリシア名ポセイドニア)に焦点を当てて、これをモデルケースとして、周辺居住民であるルカニア人との交流の跡を示す美術作品などをスライドを通して鑑賞、考察していきます。 また、セミナー冒頭では、今回の連続文化セミナーのコーディネーターである福山佑子氏(日本学術振興会特別研究員PD)に総論を語っていただきます。 | |||||||||||||||||||||||||
<講師プロフィール> 篠塚 千惠子(しのづか ちえこ) 武蔵野美術大学教授。早稲田大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得満期退学。博士(文学)。専門は古代ギリシア美術史。著書に『死者を記念する—古代ギリシアの墓辺図研究』(中央公論美術出版)、『アフロディテの指先』(国書刊行会)など。 訳書にエリー・フォール『美術史1古代美術』(国書刊行会)、スーザン・ウッドフォード『古代美術とトロイア戦争物語』(ミュージアム図書、共訳)など。
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引き続き、5月以降は以下の日程(時間帯・受講料・会場は本セミナーに同じ)、テーマで開催いたします。
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