この世の中で、無免許運転や居眠り運転と同じように危険なのは保険に加入していない自動車やバイクである。
自動車に関するイタリア最大の業務機関「イタリア自動車クラブ」の調査によると、無保険か偽の保険証で走っている国内のバイクや自動車の推定総数は驚くなかれ、350万台に上る。
普通車の9%、バイクの15%、小型トラックの17%が無保険のままだという。
旅行中に無保険の車などとの事故に巻き込まれたら-と、思うと身の毛がよだつ多さである。
さすがに大型トラックや旅客用バスは、交通警察の検問を受けることが多いだけに、無保険率は2.3%にとどまっているという。
一部新聞の無保険車の増加原因についての説明も納得がいかない。イタリアの車の保険料は、欧州連合(EU)諸国の中で一番高く、平均所得に占める保険料の割合が1%のフランスに比して3%以上に上ることが、原因の一つのように報じている。
確かに保険会社がもうけ過ぎる事実はあるにせよ、「保険料が払えないなら車を持つ資格なし」と言い切れないところが、車なしでは過ごせない国民をもつイタリアらしい。
坂本鉄男
(9月8日『産経新聞』外信コラム「イタリア便り」より、許可を得て転載)