研究集会「マッツィーニ研究の現在―Mazzini,oggi」開催報告

さる8月31日にイタリア文化会館のアニエリホールにおいて、研究集会「マッツィーニ研究の現在―Mazzini,oggi」が開催され、約100人の研究者や一般聴衆が熱心に報告を聞き、討論に参加した。(主催:イタリア文化会館、イタリア・リソルジメント史研究所 東京委員会、(公財)日伊協会、組織者:藤澤房俊東京経済大学教授、(公財)日伊協会理事・「日伊文化研究」編集委員会委員長)

Mazzoni.jpg

会議の趣旨
 ジュゼッペ・マッツィーニ(1805~1872)を知らずして、近現代イタリアを理解することはできない。これは決して誇張した表現ではない。マッツィーニは、イタリア・リソルジメントの立役者であるが、わが国ではガリバルディとカブールに比してその知名度はあまり高くはない。しかし会議冒頭のジョルジ大使のごあいさつの中でも触れられたように、日本の明治維新との類比でマッツィーニの歴史上の位置を考えてみた場合、明治維新における「吉田松陰」の役割を演じたこと、すなわちマッツィーニは「地を耕し、種を播き、木を育て」た「革命の預言者」であったことを知れば、この会議の意義もより身近なものとなろう。
「イタリア民族」を発見したと言われるマッツィーニは、共和制のイタリアを目指した革命家、数多くの新聞・雑誌を出版したジャーナリスト、ロンドンに住む貧しいイタリア人移民の子供たちのために識字学校を設立した教育者など、多面的な行動の人である。かれは、「青年イタリア」、「青年ヨーロッパ」という組織を通じて、イタリアの独立と統一に留まることなく、ヨーロッパ連邦も視野に入れた、遠くを見通し、広い展望を持つ思想家でもあった。その思想は、現在でもイタリアで生きており、いまなお語られている。本会議では、そのようなマッツィーニの思想と行動について、三人の著名なイタリア人研究者が新しい研究を踏まえた報告を行った。
プログラム
第1報告
ジュゼッペ・モンサグラーティGiuseppe Monsagrati教授(ローマ大学サピエンツァ)
「イタリア・プロジェクト : マッツィーニの思想と業績」
Progetto Italia: il pensiero e l’opera di Mazzini
          司会 小田原琳 (日本女子大学)
第2報告
フランチェスカ・ディ・ジュゼッペFrancesca di Giuseppe (ナーポリ大学フェデリーコ二世)
「母、女性教師、女性革命家 :統一前イタリアの女性のモデル」
Madri, maestre, rivoluzionarie. Modelli di femminilità nell’Italia preunitaria
          司会  熊谷眞由美 (奈良女子大学)
第3報告
マーリオ・ディ・ナーポリMario di Napoli(イタリア・マッツィーニ協会会長)
      「マッツィーニ思想の現代性」
       Attualità del pensiero mazziniano
司会  山手昌樹 (上智大学)