「第3回イタリア人大学生のための日本語・日本文化夏期集中講座」に受講中の9名の若者達の日本奮戦記。いよいよ講座もあと一週間になりました。今回は日本語講座を担当頂いている先生方にインタビューをお願いしました(原稿はインタビューを基に事務局がまとめたものです)。
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今回、インタビューに応じていただいたのは、昨年から日本語講座の講師を担当頂いている、長谷川由香先生、増田裕子先生。普段は大学の日本語教師として、世界中から来た留学生に日本語を教えられています。大学のクラスでは、レベルもバラバラで、「あいうえお」から教えなくてはいけない学生もいれば、新聞をどんどん読むことの出来る学生もいるとのこと。
「アジア系の学生と欧米系の学生が一緒のクラスに居ると、中国・韓国から来た留学生は語彙の理解、特に漢字を書いたり、発音すれば意味がすぐ分かったり、韓国人は文法がそっくりだったりしますが、欧米系はそうはいきません。」
「苦しむのはやはり漢字ですね。音読みも訓読みも複数あり、音読みだけしかない漢字もあります。学習者泣かせですね。固有名詞、人名と地名が難しいと外国人学習者は言いますね。最近はキラキラネームもありますし。」
「でも一般論ではそうですが、アジア人が日本語うまくなるかというとそうではないことも多いのです。欧米系の学生が中国人に漢字の読み方を教えたりすることもあります。要は本人の資質と努力でカバーできると思います。」
それでは、教える側から今回のクラスは全員がイタリア人ということで、やり易い?やりにくい?
「発音に関しては皆クリアです。日本語は母音をはっきりと発音する言語なので、その意味ではイタリアの方は近いのかな?って思います。イントネーションは勉強した方がいいですが、語のひとつひとつの発音はしっかりしています。」
「今年の学生は日本語学習期間の長短があるので、始まる前は若干心配でしたが、いざ蓋をあけたところ、学生達がいい子ばかりでそれに助けられて、何とかうまく回っているかな?という感じです。」
というと?
「すごく真面目でよく勉強してくれます。4年生、3年生に2年生が混じっているので、出来る子達がイタリア語でサポートしてあげてくれています。仲間意識というか、皆、仲いいですね。」
「今回はボローニャ大学の学生がほとんどですが、同じ大学でも初めて知り合った学生も多く、最初の授業は講師だけでなく
、学生同士でも緊張しています。ですので、教師側から学生を知るだけでなく、学生同士でも知り合いになる為のきっかけづくりには気を遣いますね。まずは信頼関係を作ってから、学習に入っていくアイスブレークが必要ですね。」
「この講座では学生と毎日顔を合わせるので、全員と親しくなることができますし、日々の生活の様子を話してくれますので、お互いの親密度や理解度は高いですね。」
今回の日本語講座のテキストは?
一か月の日本滞在中に使用するであろう日本語、例えばホームステイ家族との会話等、すぐ役立つ表現を選んで特別メニューを作っています。
学生のレベルは?
でも今回の講座だけでは日本語をマスターすることは出来ないでしょう。例えば現状のレベルでは、日本の大学で日本語で授業を受けるには少し難しさが伴います。しかし、日本での生活をしていく上ではまずまずのレベルにはもっていけると思います。
今後の抱負、本講座に期待することは?
「今年はボローニャ大学とペルージャ大学だけでしたが、もっと色々なイタリアの大学から、この講座に参加するようになるといいですね。我々も色々なイタリアを知ることが出来ますしね。」
「今後も学生達が継続して勉強するモチベーションを持ち続けてくれるといいと思います。その中から、アニメやマンガといった日本への興味から、日本語を勉強するだけでなく、日本語そのものへの興味を深めて、翻訳家を目指すくらいに育ってくれるといいですね。」
かつて日本への興味の対象は「芸者、歌舞伎、忍者」でしたが、今や「漫画、アニメ、ゲーム、オタクファッション」といったポップカルチャーに移ってきており、今回の学生も、そうしたきっかけで日本への興味を抱くようになっているそうです。お二人は午前の日本語講座終了後も、日本文化講座や会社訪問といった課外活動に、連日、猛暑の中、学生達に同行し、若者達のお姉さん的存在として、学生達から慕われています。笑顔でにこやかな表情の素敵な女性に教えてもらえるイタリアの若者達を羨ましく思うとともに、彼らに混じって、もう一度、日本語を勉強してみたくなりました。