リソルジメントの立役者のうち、わが国ではガリバルディとカブールに比して、マッツィーニの知名度はあまり高くはないのではないか。この夏の終わりにそんなマッツィーニに関する研究集会が開催されますので参加されませんか。
その研究集会の組織者である藤澤先生のご著書『「イタリア」誕生の物語』から日本の明治維新との類比でマッツィーニの歴史上の位置がよくわかる個所を見つけたのでご紹介しておこう。
1892年に平田久が『伊太利建國三傑』の中で「曰く革命の大話劇には三種の役者あり、預言者先づ来たつて其の序幕を演じ、大侠客次ぎに来たつて本幕を演じ、政治家最後に来たつて打ち出しを演ず」と述べている。マッツィーニは「地を耕し、種を播き、木を育て」た「革命の預言者」として、ガリバルディは「熱せる実を蒐(あつ)め」た「革命の侠客」として、カブールは「収穫の利益を全(まつた)ふ」した、「革命の政治家」として、三人のそれぞれの役割を述べている。そして、徳富蘇峰はその翌年出版した『吉田松陰』のなかで、「松陰を小マヂニー」となぞらえている。
なおより詳しくは、藤澤先生の大著「マッツィーニの思想と行動」を参照ください。
主催 :イタリア文化会館、イタリア・リソルジメント史研究所東京委員会、公益財団法人日伊協会
場所 : イタリア文化会館 東京 アニェッリホール
〒102-0074 東京都千代田区九段南2-1-30
Tel:03-3264-6011
日時 : 2013年8月31日 土曜日 15時~18時
日本語翻訳ペーパーを配布
入場無料(要予約)
会議の趣旨
ジュゼッペ・マッツィーニ(1805~1872)を知らずして、近現代イタリアを理解することはできない。これは決して誇張した表現ではない。「イタリア民族」を発見したと言われるマッツィーニは、共和制のイタリアを目指した革命家、数多くの新聞・雑誌を出版したジャーナリスト、ロンドンに住む貧しいイタリア人移民の子供たちのために識字学校を設立した教育者など、多面的な行動の人である。かれは、「青年イタリア」、「青年ヨーロッパ」という組織を通じて、イタリアの独立と統一に留まることなく、ヨーロッパ連邦も視野に入れた、遠くを見通し、広い展望を持つ思想家でもあった。その思想は、現在でもイタリアで生きており、いまなお語られている。本会議では、そのようなマッツィーニの思想と行動について、三人の著名なイタリア人研究者が新しい研究を踏まえた報告を行う。
プログラム
開会挨拶
第1報告
ジュゼッペ・モンサグラーティGiuseppe Monsagrati教授(ローマ大学サピエンツァ)
「イタリア・プロジェクト : マッツィーニの思想と業績」
Progetto Italia: il pensiero e l’opera di Mazzini
司会 小田原琳 (日本女子大学)
第2報告
フランチェスカ・ディ・ジュゼッペFrancesca di Giuseppe (ナーポリ大学フェデリーコ二世)
「母、女性教師、女性革命家 :統一前イタリアの女性のモデル」
Madri, maestre,rivoluzionarie. Modelli di femminilità nell’Italia preunitaria
司会 熊谷眞由美 (奈良女子大学)
第3報告
マーリオ・ディ・ナーポリMario di Napoli(イタリア・マッツィーニ協会会長)
「マッツィーニ思想の現代性」Attualità del pensiero mazziniano
司会 山手昌樹 (上智大学)
終了後、パネリストとの懇親会予定
組織者
藤澤房俊(ふじさわふさとし) 文学博士、東京経済大学名誉教授、イタリア・リソルジメント史研究所東京委員会委員長。
お問い合わせ:Tel. 042-622-1962, ceb21820@hkg.odn.ne.jp
お申込み:
件名を「8月31日マッツィーニ研究集会」とし、お名前、電話番号、参加人数を明記の上、メールにてeventi.iictokyo@esteri.itまでお申し込みください。