昔からイタリアでは、「アッピア街道」とか「スペイン広場」のように、市町村の広場や公園はもちろんのこと、大通りから裏道まですべてに名前がつけられている。もともとカトリックの国であるため聖母や聖女の名前が多いが、有名政治家や歴史的記念日、出来事もあり、近年では州名や町名などもつけられている。これらは道路の開通時に地方自治体が勝手につけている場合が多いようだ。
中でも多いのが人名なのだが、最近ある女性団体が全国の道の名前を調べたところ、女性の名前は男性名に対して圧倒的に少ないことを発見し、これは男女同権に反すると抗議の声を上げた。
男性名と女性名の比率を北から南の主な4都市を例に挙げると、トリノは47%対3%、フィレンツェが48%対3%、ナポリが36%対5%である。首都ローマでは、1万6057本の道のうち47%が男性名で女性名はわずか3・7%である。ローマは、カトリックの中心地でありローマ法王領の歴史が長かっただけに、この影響から女性名でも聖母関連のものが54、聖女関連が88もある。
だが、道の名前に女性名が少ないと目くじらを立てる必要はない。今に新しい道は女性名が圧倒的に多くなる時代が来ることは間違いないのだから。
坂本鉄男
(1月20日『産経新聞』外信コラム「イタリア便り」より、許可を得て転載)