2月18日、ローマ法王ベネディクト16世が枢機卿会議を招集し、22人の新しい枢機卿を任命した。枢機卿とはローマカトリック教会の最高位の聖職者であり、任期終身の法王が死去した場合、80歳未満の法王選出権を持つ枢機卿たちがシスティーナ礼拝堂に籠もり「コンクラーベ」と呼ばれる選挙で新しい法王を選出する。
今回の22人の新枢機卿を加えると、枢機卿の総数は213人になるが、現時点で法王選挙権を持つ80歳未満の枢機卿の数は約半分の125人である。
昔はイタリア人枢機卿の数が絶対的に多かったため、1978年、ポーランド出身の前法王ヨハネ・パウロ2世が選出されるまでの250年間はイタリア人枢機卿だけが法王に選出されてきた。そして、前法王の逝去に伴い、2005年4月、再びイタリア人ではないドイツ出身の現法王が選出されたのである。
さて、現時点での法王選出権所有枢機卿125人を出身国別に分類すると、イタリア人が30人と最多で、次のアメリカ人12人、ブラジル人6人を大きく引き離している。
現法王は84歳の高齢ではあるが健康で早晩の死去を想定するのは甚だ失礼だ。ただ、現時点での数字上の仮定では次期法王には再びイタリア人法王が出現する可能性が大きいということだけである。
坂本鉄男
(2月26日『産経新聞』外信コラム「イタリア便り」より、許可を得て転載)