今年も9月18日と19日に「ミス・イタリア」の最終選抜が行われ、その模様が国営テレビRAIで全国放映される。
このコンクールは、たとえ「ミス・イタリア」に選ばれなくても、過去の参加者から、ソフィア・ローレンやジーナ・ロロブリジーダらの大女優を生み出している。いわば、映画界やモデル界の登竜門として毎年1万2千人の若い女性が応募するのも無理ないことだ。
米国が初の黒人大統領となったオバマ大統領を選ぶ前に、イタリアは1996年度のミス・イタリアに、ドミニカ生まれの18歳の美女を選んでいる。イタリア人男性と再婚した黒人の母親の連れ子としてイタリア国籍を取得したためだ。近い将来アジア系のミス・イタリアだって誕生するかもしれない。
全国には「ミス・ナントカ」と銘打った美女コンクールが700以上あるが、黒字運営なのはこのミス・イタリアだけだ。経費300万ユーロ(約3億1700万円)に対し、スポンサーからの収入は500万ユーロに上るというから、若い女性の夢をダシにしたなんと頭のよいビジネスだろう。それにしても、私は審美眼がないのか、最終選に残った100人の美女の中からミス・イタリアを当てたことはただの一度もない。結局、美人とは個人の趣味の問題なのだろうか。
坂本鉄男
(9月11日『産経新聞』外信コラム「イタリア便り」より、許可を得て転載)