ギリシャ財政危機に続き、国際投機筋が財政赤字の大きいイタリアの国債や銀行株を売り浴びせた。これを受けてイタリアでは欧州連合(EU)に援助してもらう見返りに、下院が7月15日に財政再建法案を可決、今月12日にも政府が緊急閣議で追加の財政再建策を決めた。
一般消費税を1%引き上げて21%にすることは、今回、インフレ要因になる恐れから見送られたが、中央官庁の予算削減や州議会の議員総数の大幅減員などが盛り込まれた。
また、官民を問わず、今後2年間、年収15万ユーロ(約1650万円)以上の高額所得者は、15万ユーロを超える額の10%を、9万ユーロ(約990万円)以上の者は、それを超える額の5%を、「連帯税」として差し引かれることとなった。
しかも、国会議員には一般人の倍の「連帯税」が課せられることも決まった。つまり、年収15万ユーロを超える場合には20%の天引き措置が決められたのである。
赤字は政府と議会の財政放漫政策によるものだから、一般人の倍の責任をとるのは当然だ。
これに反し、世界最高水準の財政赤字を生み出しながら、平然と世界最高水準の歳費を受けている日本の国会議員の面(つら)の皮の厚さは、これもまた世界最高とは言えまいか。
坂本鉄男
(8月21日『産経新聞』外信コラム「イタリア便り」より、許可を得て転載)