2009年4月6日の大地震で300人以上が犠牲になったアブルッツォ州の州都ラクイラ市。壊滅的被害を受けた国立音楽院のホールが、日本からの約7000万円の寄付を基に新築され、除幕記念コンサートが7日に行われた。
ホールはまだ完成間際の段階だが、コンサートには、東日本大震災に見舞われた日本国民への激励の意が込められ、ホールの建設に尽力した安藤裕康駐伊大使への謝意も込められた。
ホールの設計は国際的建築家の坂茂氏が担った。音楽院の吹奏楽団に華麗なタクトをふるったのは、ロシア国立交響楽団首席客演指揮者の西本智実さんで、出席したイタリア政府および州・県・市の代表から万雷の拍手が送られた。
国営テレビは震災支援のため特番を組み、募金を呼びかけた。ローマ市は、各地に日本語とイタリア語で記した「がんばれ日本」のポスターをはった。その結果、日本大使館には民間企業や個人から多額の義援金が寄せられている。
演奏会後、西本さんは「本日演奏したラベルのボレロは、小さい音から始まり、各パートが徐々に重なって一大合奏となります。このように大災害を受けた日伊両国の小さな助け合いが大きなものに成長するよう祈りましょう」とあいさつし、深い感銘を呼んだ。
坂本鉄男
(5月15日『産経新聞』外信コラム「イタリア便り」より、許可を得て転載)