今年は、本日4月24日が復活祭(イースター)で、キリスト教徒にとっては、はりつけにされたイエス・キリストが復活したことを祝い、クリスマスと同じくらい重要な祭日である。
大勢の日本人がクリスマスには大騒ぎをしても復活祭に無関心なのは、この祭日が「春分の次の満月の次の日曜日」と定められ、毎年月日が変わる移動祭日であるためキリスト教徒でなければ分からないからだろう。
復活祭のシンボルは卵である。卵は生命の再生のシンボルであるため、昔からイエスの復活と結びつけられ、庶民はゆで卵を食べたり、プレゼントしたりしたが、王侯貴族も豪華な金や銀の卵を贈答品にしていた。実際、英国国王エドワード1世(在位1272~1307)は450個の金を貼り付けた豪華な卵を贈り物用に注文していたとの記述も残されている。また、ギリシャ正教などでは、イエスをしのぶため、血潮のような深紅で塗ったゆで卵を食べる習慣がある。
イタリアでは昔と比べるとゆで卵を食べる習慣が廃れてきたが、それでも最近の新聞によると、この祭日の前後には、40万個の卵が消費されるという。
現在、贈り物として一番人気なのは卵形チョコレートで、この時期の菓子店のショーウインドーを美しく飾っている。
坂本鉄男
(4月24日『産経新聞』外信コラム「イタリア便り」より、許可を得て転載)