わが国では2月22日を「ニャンニャンニャン」の語呂合わせから「猫の日」とするが、イタリアでは1990年に愛猫家の投票で決められた同じ2月17日の「猫の日」の存在はそれほど知られていない。
とはいえ人間とネコの共存の歴史を考えると、奈良時代に教典をネズミ被害から守るため中国からネコを輸入したといわれるわが国とは違い、ヨーロッパでの歴史は長い。実際、2004年にキプロス島で発掘された9500年前の墓から人骨と一緒に飼いネコの骨と思われるものが発見されている。
近現代では、英国の最盛期を治めたビクトリア女王(1819-1901)が溺愛(できあい)し、王室中で貴族同様に扱われていたペルシャ猫、チャーチル首相とともにダウニング街10番地の官邸を住まいにしていたネコのジョック君、ホワイトハウスではセオドア・ルーズベルト大統領のスリッパーズ君、クリントン一家のソックス君などが有名だった。
また、「猫は飼い主の家になじみ、犬は飼い主になじむ」とのジンクスを破るものとして、2009年にフィンランドのラップランドで行方不明となり130日後に800キロ離れたヘルシンキの飼い主の元に帰ったネコの話も耳新しい。ネコの日には愛猫にごちそうをお忘れなく。
坂本鉄男
(2月20日『産経新聞』外信コラム「イタリア便り」より、許可を得て転載)