現在の航空業界は格安航空全盛時代である。数カ月前の新聞にいろいろな格安航空会社の値段表が出ているのを見てビックリした。安い! これで安全運航をしてくれるなら本当に安くなったものだ。
たとえばミラノ・マルペンサ空港について挙げると、ミラノ-コペンハーゲンが39・99ユーロ、ミラノ-バルセロナ34・99ユーロ、ミラノ-パリ21・99ユーロだった。
もちろん以上の値段はすべて片道運賃だ。
さらに私の住むローマからも下記のような(こちらは往復運賃)航空運賃が書いてあった。
ローマ-ブリュッセル99ユーロ、ローマ-アムステルダム99ユーロ、ローマ-パリ85ユーロだった。さて、格安運賃はありがたいが、果たして飛行場まで行く乗り物の運賃はどうなっているだろう。
ミラノ市内から43キロ離れたマルペンサ空港までは市内のターミナル駅から急行列車で行けば11ユーロだし、シャトルバスなら7・5ユーロだ。だが、タクシーだと料金は85ユーロでコペンハーゲンに行く航空運賃の倍以上もする。
ローマ空港でも同じで、空港と市内間は原則40ユーロ少々だが、ちょっと中心を外れたり荷物があるとなると60ユーロに跳ね上がる。
もちろん、電車なら主要ターミナルのテルミニ駅まで11ユーロだが、そこから自宅までまたタクシーに乗らねばならぬ。
いやはや、タクシーより飛行機代のほうが安い時代が到来したことになる。
坂本鉄男
(4月11日『産経新聞』外信コラム「イタリア便り」より、許可を得て転載)
(4月11日『産経新聞』外信コラム「イタリア便り」より、許可を得て転載)