<Ascoli Picenoへの小旅行>
5月は音楽活動が殆どなく、かねてより行きたかった友人の町を訪ねることにしました。マルケ州のやや内陸にある「アスコリ・ピチェーノ」という町です。ミラノ中央駅から列車でアドリア海沿いに出て、Ancona(アンコーナ)で乗換え含め約6.5hです。
有名なリゾート地のリミニから、海外線沿いを電車は下ります。まだシーズン前で静かな海辺の景色は癒されました。
アスコリ・ピチェーノは思ったより大きな町で、山に囲まれ景色良し空気も清々しく自然溢れる所でした。夏はやはりかなり涼しいようです。友人は、サクスフォン奏者のイタリア人夫と5歳の可愛いお嬢さんの3人暮らしです。
*料理教室*
友人は、ほぼ毎週土曜日に日本家庭料理講座を開いていて、彼女が言うには「こんな田舎なのに、日本食ブームのお蔭で毎回ほぼ満員」とのこと。一番人気メニューは「巻き寿司」。嫌になるほどリクエスト多く、イタリア人はこれを習って家で作って自慢したいとか。時折プロのシェフさん達も参加するのだそうです。
でもシェフ以外のイタリア人生徒さん達は日本人と違い、いくら事前に説明しても、それぞれが説明したことをバラバラと質問するのに閉口だと。日本人は準備が良く、飲み込み早く指示通りに動くし優秀で手が掛からないけどイタリア人生徒は殆ど聞いちゃいないそうで(彼女はイタリア語のレシピも渡しているにも関わらず)納得。これは集団で事を運ぶことに慣れていないからでしょう。料理教室は皆で協力して料理を作る訳ですから、日本人の得意分野ですね。
2番目人気メニューは、「ラーメンと餃子」。ミラノと異なり、麺も餃子の皮も全てパスタ・マシーンで手作り。さすがピッツアの国イタリアらしく、小麦粉大好きですから問題なく作れるのだそうです。
*日本文化講座*
最近「日本語講座」と「お習字講座」の依頼があったそうです。私達日本人は、お習字は幼い頃に習ったことがありますから、本格的でないにせよ教えられます。
生徒二人の日本語講座に参加しました。まだ、初級で「挨拶、自己紹介と数字」ですが生徒の一人は、良く見受けるアニメとゴスプレが大好きな若い学生。もう一人は70歳位の男性で、なんと空手一段。やはり日本の文化を知って、惹きつけられたとのこと。友人は先生として、やや厳しいかな?と感じましたが。
*ピラティス体験レッスン*
友人はストレス?解消のために、週1回ピラティスに通っているとのことで、事前の体験レッスン参加を聞かれ興味ありOKしました。ミラノでも、イタリア人年配中心のヨガ講座に半年ほど通った経験から、大体の流れは分かっていました。
ピラティスは初めてでしたので、ヨガと比べてややハードだと思いました。一つの動作が終わると連続して次の動作となり、久しぶりのこともありましたので、ややキツイと感じ汗びっしょり。まあ、ヨガをやっていたせいと日々ストレッチとスクワットも続けており、殆どこなせてホッとしました。
1人シニア男性生徒が、後半からインストラクターに質問やお喋りが始まり、煩く集中出来ず、これも日本では有り得ない光景でした。終了後は皆が私の初ピラティスを褒めてくれてました。ヨガよりハードなところに興味を持ち、ミラノに戻ったらやって見たいと思い始めました。楽器を弾いている姿勢は、疲れますので有効かと。
*ヴァイオリンレッスン見学*
ある日は、友人が教えているヴァイオリンのレッスンを見学。生徒の少女は以前2年程習っていたそうですが、友人曰く、調弦も教えられてなく全然出来ないので以前の先生は泥棒みたいだと言ってました。音楽院出ではなかったようです。
聡明な少女で、まだまだこれからだと思いますが、友人のお蔭で上達してくれたらと願いました。友人は田舎で音楽活動の機会も殆どないので、錆びついてしまいそうだとも・・・
4日間も滞在し、友人はメルカートの新鮮で安い美味しい食材で沢山お料理を作ってくれ、
地元の名物料理もご馳走になり、本当にゆったりとした時間を過ごせて感謝の旅でした。
<イタリアの医療事情>
4月に酷い風邪を引き、中々治らず不調が続いて食欲もなく寝てばかりでした。ある日、瞼が目ヤニが酷くて開かなくなりました。ネットで症状を検索したら、「結膜炎」のようでした。
友人に相談しましたら、ミラノのある救急病院の一つ(pronto soccorso)の眼科が優秀で有名と紹介してくれました。イタリアの救急病院は大抵の友人達も1度はお世話になっているようで、しかし救急なので当然緊急度の高い、命に関わる怪我人・病人が優先されます。ですから大概5~6時間は待たされると聞いておりました。救急病院に行くほどでもないかと判断して薬局で説明して、薦められた目薬で4日で治りホッとしました。
例えば、ある友人はアレルギーで呼吸困難の症状を起こし、救急車を呼んで救急病院に行きましたが、待たされ順番が来る頃には治ってしまったとか。
またある友人は、目の下が突然痙攣を起こし夕方に行くも、重症患者に次々順番を飛ばされて結局診て貰えたのは0時頃。でも担当医はその病名をピタリと当てて処方された薬で事なきをえたとか。
そしてまたある友人は、薬局で購入した日本にはない成分入っている鎮痛剤を飲んだら、唇がパンパンに腫れ上がり、慌てて救急車で救急病院へ。診てくれた医師に「君はこの薬は絶対に飲んではいけない。危うく死ぬところだったから」と言われたそうです。
イタリアの病院は、保険扱い医とそうでないプライベート医があり、いずれも事前予約が必要で、日本の様に行けばすぐ診察してくれるというシステムではありません。ですから、すぐに治療を受ける必要がある場合は皆この救急病院に行きます。
血液検査やその他の検査をしたい場合も、社会保険に加入している一般人はまずホームドクターの予約をとって相談し(診察はしない)、処方箋を書いてもらい、自分で該当する診療科のある病院に電話または赴いて、予約をします。そして検査結果が出たら、それをホームドクターの所に持参して判断を仰ぎ、さらなる検査や入院が必要になれば、また処方箋を書いてもらい該当する病院を探して・・・となります。そして検査も何か月も先ということもしばしばです。
ですから治療を急ぐ必要な場合は、保険の効かないプライベート医を選ぶことも多く高額な診療代を払うことになります。歯医者も保険外です。私も歯の治療で€650の見積額に驚き、その時期の日本への往復フライト代より高かったので、日本に帰って治療しました。
このようにかなり面倒なイタリアの医療事情のせいか、皆なんとか薬局で購入する薬で治すようです。ですから、町中に薬局が沢山あるのはそのせいなのか?と思っています。我々日本人には強い薬が多いと聞いており、慎重さが必要です。