生まれた子供の命名権は親権の一部であるという。このため、普通はどんな名前でも受理されるが、日本でもイタリアでも「悪魔」のような、子供の将来に不利を生じさせるような名前は受理されない。
イタリアでは、伝統的に男の子にも女の子にもカトリック教の聖人・聖女の名前をつけるのが普通であったが、最近は以前は存在しなかったような変わった名前をつけることが流行だ。
昨年5月、ミラノで命名をめぐりある出来事があった。娘に青色を意味する「ブルー」と名付けた夫妻に対し、裁判所が「法律に、名前は性別が明らかであることの条項があるから改名せよ」と通知した。結局、「戸籍を見れば性別は簡単に判明する」との両親側の申し立てが通り、「ブルーちゃん」の名前はそのままで良いことになった。
この点、日本では、漢字の読み方がいくら難しくても何通りあろうとも受理されるようだ。
明治安田生命保険によると、昨年人気だった名前は男の子の1位が「蓮」、2位が「湊(みなと)」、3位が「大翔(ひろと)」で、女の子の1位が「結月(ゆづき)」、2位が「結愛(ゆあ)」、3位が「結菜(ゆいな)」だったそうである。
これらの名前には、他にも複数の読み方があるが、読者の皆様は幾つの読み方がお出来になるだろう。
坂本鉄男
(2019年1月29日『産経新聞』外信コラム「イタリア便り」より、許可を得て転載)