タイ北部のチェンライ県のタムルアン洞窟に閉じ込められたサッカークラブの少年らとコーチ計13人の安否を世界中が心配した。
少年らはサッカーの練習後に洞窟に入ったというが、最近では、登山用具、照明装置、潜水用具などの進歩から洞窟探検が世界的に一種のブームになっているようだ。しかし、今回タイで見られた救助作業のとおり危険を伴うことがある。
洞窟探検では、古代アッシリア王シャルマネセル3世が紀元前853年にチグリス河の源流の洞窟を調べたといわれる。約3,000年後の1800年代に、フランス人マーテル(1859~1938年)が近代洞窟研究の道を開き現在に至ったという。
洞窟学は洞窟の形成過程を通じ地層、地下水脈、気象、古生物、考古学など多岐にわたる研究を含んでいる。特にカルスト地形と呼ばれる、水に侵食されやすい石灰岩などの石でできた地層を中心に、山口県の秋吉台国定公園にある鍾乳洞など、さまざまな形の洞窟が日本を含め世界各地にある。
イタリアでは南伊のカステッラーナの鍾乳洞が日本でもよく知られ、わざわざ訪れる観光客もいる。欧州では、イタリアの隣国スロベニアのポストイナの鍾乳洞が有名で、約20キロの長さの内部を小型電車で一巡できる。
坂本鉄男
(2018年7月15日『産経新聞』外信コラム「イタリア便り」より、許可を得て転載)