ミラノで13日に行われたサッカーW杯ロシア大会ヨーロッパ予選プレーオフで、イタリアはホームアンドアウェー方式の第1戦ですでに敗れていたスウェーデンと対戦した。背水の陣を敷いて戦ったが相手の強固な防御に阻まれ引き分けに終わり、14大会連続出場の強豪が60年ぶりに本戦出場を逃すことが決まった。
サッカーはイタリアの国技ともいうべきスポーツ。W杯出場は当然のことと思われていただけに、北アイルランドに敗れた1958年以来の不出場がイタリア国民に与えたショックは大きい。ある新聞は「国内政治の不統一がチームに影響を与えたのでは」とまで書くありさまだった。
W杯優勝チームの賞金は約3400万ユーロ(約45億円)。準々決勝まで進出した場合でも約1160万ユーロが支払われるという。本戦出場に伴う高額の賞金も逃した形だが、経済面の影響はイタリアサッカー界にとどまらない。
2006年にイタリアが優勝したときには、国際的に大きな宣伝になり、イタリア製品の輸出が10%増加したという。国内総生産は4・1%押し上げられたともいわれ、国内経済への波及効果も大きいようだ。
こう考えると、W杯出場にサッカーファンだけではなく、一般国民も一喜一憂する理由がよくわかる。
坂本鉄男
(2017年11月19日『産経新聞』外信コラム「イタリア便り」より、許可を得て転載)