<スカラ座でのコンサート音楽鑑賞>
今年1月の「マダムバタフライ」以来、半年ぶりでスカラ座のコンサートに行きました。やはりスカラ座は独特の雰囲気があり、そこに座っているだけで高揚感を得られます。3階の桟敷でしたが最前列でしたので、良く見え、とても楽しめました。
今回はスカラ座専属のオーケストラではなく、若手中心の奏者のオーケストラで、演奏曲目も現代風で、エネルギー溢れるダイナミックな演奏でした。こういう曲を演奏するのも、古典とはまた異なる感性が必要で、彼らの若い音楽性を見られる気がしました。
特に気に入ったのは、アメリカのジョージ・ガーシュウィン作曲のピアノとオーケストラのための「ピアノ協奏曲 ヘ調」でした。彼はポピュラーとクラシックの両面で活躍し、現代アメリカ音楽を作り上げた作曲家として知られています。
ピアニストはフランス・リヨン出身で、このアメリカ風の協奏曲を見事な弾きっぷりでの演奏でした。とてもお洒落ないでたちで、なんと靴はシルバーのピカピカの銀ラメでした!似合ってましたね~ アンコール曲はロマンチックな流れるような曲で、素敵でした。
ガーシュウィンの名曲「ラプソディ・イン・ブルー」を、2008年にロシアの楽器ドムラ(*1)演奏者をソリストに迎え、日本のあるマンドリンオーケストラで演奏したことを思い出しました。クラシックとは異なる、ポップス調のテンポと展開が慣れなくて難しかったですが、良い思い出です。また弾いてみたい気がしてきました。
<ジェノバへのギターレッスン>
ギターは私が10代の頃、フォークソングをコード進行のみの自己流で弾いてました。その後、30代で約2年、クラシックギターを習いましたが、難しく断念しました。改めてまたギターを始めようと、2015年ミラノの音楽学校に入学し、ここでギターのレッスンを始めて2年が経過しました。
先生はクラシック専門ではなく、生徒の年齢も低学年児童から年配までと幅広く、クラシックギター、ポピュラー音楽、エレキと様々なジャンルの指導をしている先生です。ですから、余り厳しいとはいえず、気楽に音楽を楽しむという路線で今までレッスンをしてきました。
今年5月に無理な姿勢で弾いたせいで、左肘を痛めてしまい、約3か月位休まなければなりませんでした。そこで正しい姿勢と弾き方をきちんと身につける必要性を感じ、9月からの新学期に先立ち、自分のギター演奏の方向性を定めようと思いました。自分には何が欠けていて、どういう練習が必要か?ここでしっかり認識する必要を感じたのです。
上達するにはクラシックの基本による正しい基礎練習が必要で、クラシック専門の友人であるジェノバ在住の日本人の先生に相談することにしました。
私の考えとやりたい方向を先生に説明してレッスンを開始しました。日本語で疑問と意見を言い、それに対して示して貰えたことは有意義だったと思います。実際に先生の前で演奏後、「全く持って駄目で言わなきゃならないことが有り過ぎる」との発言も真摯に正直に受け入れることが出来ました。
まず左手の構え・指板の指の置き方・角度を修正され、また姿勢と椅子の座り方・脚の開き・足置きの位置等は、日本の友人女性ギタリストとスカイプを通じての指導。なんと先生2人がかりでのレッスンでありました。右手がこれまた大事で、良い音を出すには手の弦をつま弾く角度が間違っており、修正した途端に音が良くなりました。
曲を弾く前の基礎楽譜を数十分間試しただけで、かなり今までと違う成果が得られました。これこそ私が知りたかったことで、大満足でした。基本はクラシックで練習しないとまず上達しないとのこと。これも分かってはいましたが、どの時代の誰の曲が良いのかが分かりませんでしたので、これも理解出来ました。
これで、家に戻って言われたことを実行してみると、以前と比較にならない程良い演奏となり、また痛めない様に力を抜いて、正しいフォームと左手の構えを色々試し始めました。
<南イタリアでの演奏参加 カンポバッソ>
親しいカゼルタ(Caserta)の友人から、カンポバッソ(Campobasso)とベネヴェント(Benevento)でのコンサート演奏を誘われて、9月中旬に参加してきました。カンポバッソはモリーゼ州の町で、ミステリ(*2)というある宗教祭事にまつわるある美術館内でのコンサートでした。
コンサート開始に伴い、司会者が主宰者紹介、そしてこのミステリの歴史の説明を、ある教授が話し始めました。
長い。。。。。。
いつ終わるのかと待ち続けましたが、彼は数ページに渡る書類を持ちながら話しており、終わる気配はありませんでした。
指揮者によると「5分で」と言ったにも関わらず・・・とのことでしたが、結局30分もかかりました。もう、私達演奏者は集中力が低下し、観客の目つきと態度もあからさまにイライラしている様子でした。このお蔭で、30分以上も終演時間が遅れましたが、演奏自体は上出来で観客は大喜びで大成功でした。
そしてこのコンサート終わったあと軽くピッツァでの打ち上げだったはずが、このオーケストラの専属ソプラノ歌手の家に夕食ご招待という聞いてない話。その家は市内から遠い農家でした。
初めての家ですし、どんな料理が出てくることになるのかは想像出来ないまま、沢山の料理が並べられ…びっくり!でも毎年飼っている豚を家族総出で作ると言う生ハム、パンツェッタ、サルシッチャ、サラミはかなり美味しかったです。
しかもデザート・フルーツ・カフェが続き、(いつ帰れるのか?) またまた時間が気になるも現地在住組は全然そんな気配なし。カゼルタに帰るには車で1時間半はかかる距離。いつも通り長いイタリアの夜でした。
<南イタリアでの演奏参加 ベネヴェント>
その明くる日はベネヴェントで夏のお祭りの出し物の一つで、ナポリ民謡の歌手の伴奏をマンドリン2名とギター1名のトリオで行うというものでした。これが大変だったのです。
事前に友人から録音が送られて見ると、なんと20曲以上もあり、譜面なしで練習しました。
マンドリン友人が起こした譜面があるらしいのですが、全く初見では不安なので頭に入れていかねばと。そしてなんと、出発前日にイベントプログラムが送られてきて、見たら3人だけで演奏するのが2曲も追加になっていました。
友人の家について、早速練習開始。曲が多いので1回では終わらず、カンポバッソ コンサート当日の午後と明くる日ベネヴェントでコンサート当日午後と全部で3回音合わせしました。
毎回幾つかの譜面が変わり、実際当日弾けるか不安で一杯。しかし友人は「大丈夫、大丈夫」と。実際当日舞台に立つと、観客の視線と耳は歌手に集中しており、われら伴奏グループへの関心はそれ程でもない様子でしたので、ちょっと一安心しました。
今回も、歌手の曲説明が長く、時間が押してしまい、結果的に我らの演奏が1曲、あと5曲位キャンセルとなり、曲の順も変わり、後半にはどこをどう弾いたのか後で余り記憶ないようなことになりました。夜外の舞台で寒くて指が冷たくなりましたが、観客は盛り上がり、大喜びで無事終了しました。ナポリ民謡は人気あるんですね。
あとで感じたことですが、正しく弾くというよりも流れと曲に乗ることが大事だと言うことでした。面白かったので、またやってみたいです。
(編集者注)
(*1)3本もしくは4本のスチール弦と丸い共鳴板を持つロシアの弦楽器
(*2)キリスト生体の祝日(聖体節)のお祭りの日に、宗教劇のワンシーンを、主に聖母マリアの守護エンジェルとデビルが主人公となって扮装して、神輿のように、その主人公たちを担いで町の中を行列する伝統的な催し