坂本鉄男 イタリア便り 青かびチーズ・ゴルゴンゾーラのにおい 日本人向きの「甘口」、「辛口」は強烈

7月に日欧の経済連携協定(EPA)が大枠合意に達し、輸入拡大が見込まれる欧州産チーズ。フランスに負けず劣らず、イタリアにも豊富な種類のチーズが存在することが、日本ではあまり知られていない。

 牛乳あるいは羊乳のチーズを青かびで熟成させたブルーチーズでいえば、イタリアのゴルゴンゾーラはフランスのロックフォール、イギリスのスティルトンと並び、世界の三大ブルーチーズと称されている。近年は日本でもかなり人気で、そのままパンに塗って食べたり、パスタのソースに混ぜて使われたりしている。

 北伊のピエモンテ州とロンバルディア州の特産品。牛乳のみを原料とする。名前の起源はロンバルディアの州都ミラノの東、約15キロのゴルゴンゾーラ村だ。それほど歴史の古いチーズではなく、15世紀以降のものといわれる。

 普通は店で切ってもらい購入するが、原型は直径25センチ前後、高さ15センチほどの円筒型である。甘口(ドルチェ)と辛口(ピッカンテ)の2種類があり、50日ほど熟成させた甘口は、青かびの量も少なく、独特のクセはそれほどではない。

 一方、辛口は甘口の原形に針で穴をたくさん開け、内部まで青かびを浸透させ80日ほど熟成させたものだ。慣れない日本人は、匂いの強い辛口は避けた方が良い。

坂本鉄男

(2017年9月10日『産経新聞』外信コラム「イタリア便り」より、許可を得て転載)