東京で12月10日前後に投函(とうかん)された年賀状が、1月17日にたくさん届いた。イタリアに到着後の配達の遅れによるものだ。
ローマまで1カ月以上の郵便とは「アフリカ並み」と言ったらアフリカ諸国に怒られるかもしれない。
イタリア人は「怠け者」といわれるが、個人商店や私企業の従業員は非常に勤勉だ。問題なのは地方公務員だ。
1月上旬の有力日刊紙「レプブリカ」によると、シチリア州の州都パレルモ市では、道路清掃・ゴミ収集係の270人が健康上の理由で外で働かず、市に雇われている400人が「運転不適格」の運転手や、門衛しかできない名ばかりの庭園係である上、いずれも医師の診断書提出者だという。一体なぜ不適任者を採用したのか不思議になるが、いい加減な診断書を乱発する医師にも問題がある。
また、北部のミラノ市では明け方の3時から午前8時まで生鮮食品市場を監督する検査官5人のうち4人が「夜間勤務不適当」の医師の証明書を提出しているという。
こうした状態は組合の力が強いローマ市も同じだ。せっかく市民が市政改革を願って選んだ「五つ星運動」出身の市長も無能で、市営交通もゴミ処理も一向に改善しない。
坂本鉄男
(2017年1月22日『産経新聞』外信コラム「イタリア便り」より、許可を得て転載)