「地震、雷、火事、おやじ」とは、昔の人はうまいことを言ったものだ。
さる8月24日の「アマトリーチェ風スパゲティ」の発祥地一帯を襲った大きな地震が引き金となり、このところイタリア半島を北から南に縦断するアペニン山脈の中部に沿った地震帯を震源とする、強い地震が続いている。
10月26日の夕刻に2回起きたマグニチュード(M)5~6強の地震は、山間部の多くの小村に、壊滅的な被害をもたらした。
また、30日朝のM6・6の強震は、カトリック教の大聖人ベネディクトの生地、ノルチャ町の大聖堂を崩壊させた。
しかも、ある地震学者は、「アペニン山脈に沿った3本の地震帯の一番大きな1本がまだ動いておらず、危険はまだ続く」と警告するのだから、全く油断はできない。
そればかりではない。各地で地震がある度に、約100キロ離れたローマも大きな揺れに襲われた。
30日の地震では4大寺院の一つの正面上部に亀裂を生じさせ、地下鉄もストップした。
地震国日本で生まれ育った私でも、地震の度に大きく揺れる客間のシャンデリアを眺めていると、「怖いものの1番は地震」という、昔の人の教えは正しいと痛感する。
坂本鉄男
(2016年11月6日『産経新聞』外信コラム「イタリア便り」より、許可を得て転載)