わが国でもよく知られているイタリアワインをごく少数だけ挙げるならば、赤ワインなら北イタリアの「バローロ」と中部イタリアの「ブルネッロ・モンタルチーノ」であろう。
このほか白ワインでは最近北伊チロル地方のものが有名になっている。もっとも、ワインの名前ならデパートやワイン専門店で簡単に知ることができるので、本日、お知らせするのは、専門誌が調査した昨年度のこうした有名ワインの産地のブドウ畑の平均価格である。
一番高いのは、ピエモンテ州のバローロ丘陵の1ヘクタール当たり60万ユーロ(約8100万円)。2番目がトレンティーノ・アルト・アディジェ州のカルダーロ湖周辺丘陵の50万ユーロ、3番目はこれまた北部のベネト州のイタリア発泡酒「プロセッコ」の名産地バルドッビアーデネ町周辺丘陵の40万ユーロであった。
意外であったのは、わが国で一番知られているワインの産地、トスカーナ州のモンタルチーノ町周辺丘陵が4番目の35万ユーロだったことだ。
ところがである。10月中旬、ある全国紙が、米国の投資家がブルネッロ・モンタルチーノの名酒畑1・6ヘクタールをなんと600万ユーロという破格値段で購入したと報じた。ブドウ畑が投機対象として買われ出したらおしまいだ。
坂本鉄男
(2015年10月25日『産経新聞』外信コラム「イタリア便り」より、許可を得て転載)