今から約100年前に起こった第一次世界大戦では、機関銃や毒ガス、潜水艦、戦車などの新兵器が投入され、兵士たち約1千万人と民間人約700万人というそれまでの人類史上最大の犠牲者を出した。もちろん、広島と長崎を瞬時にして破壊し尽くした原爆投下で終止符を打った第二次世界大戦での約7千万人ともいわれる犠牲者総数とは比較にならないが。
ここでは第一次大戦の歴史などを語るつもりはなく、各国が当時の国民総人口に対し、いかに多くの犠牲者を出したかを伝え、戦争のむごさを知らせたい。
勝利を収めた連合国側では、フランスが約170万人と死者が一番多く国民の約4・3%、次いでイタリアの124万人で国民の約3・5%に達した。敗戦国ドイツの戦死者は247万人と多く、国民の3・8%、次いでオーストリア・ハンガリー帝国の156万人で国民の約3%に及んだ。
日本は日英同盟に従い連合国側についてドイツと戦い、中華民国山東省の租借地青島と南太平洋にあったドイツの植民地を占領した。また海軍の艦艇を地中海に派遣したが、駆逐艦1隻が独潜水艦Uボートの攻撃を受けて乗組員59人が戦死し、今もマルタ島の丘の上に墓地がある。日本はこの犠牲者を含め計415人の戦死者を出した。
坂本鉄男
(2015年9月6日『産経新聞』外信コラム「イタリア便り」より、許可を得て転載)