「須賀敦子翻訳賞」受賞記念トーク・イヴェント - 白崎容子先生&関口英子先生に聞く ご報告

OLYMPUS DIGITAL CAMERA去る4月1日(水)、昨年「第1回須賀敦子翻訳賞」*をダブル受賞され、日伊協会のイタリア語講師としてもおなじみの白崎容子先生と関口英子先生をお招きして、トーク・イヴェントが開催されました。お2人のお話が一度に聞けるめったにない機会とあって、会場は満席、お2人の対談にみなさん最後まで興味深く聞き入っていました。

対談では、どうして同じ時期に同じ作家ピランデッロの作品で受賞することになったのか、といった今回の受賞にまつわるお話や、翻訳というお仕事について、またイタリア語を学ぶ魅力など、さまざまなテーマについてお話しいただきました。

受賞作であるピランデッロの他にも、ロダーリ、カルヴィーノ、タブッキ、サヴィアーノ、アバーテ、プラーツ、レーヴィ、ベンニ、ピウミーニなど、様々なイタリア人作家の作品とその特徴なども広く紹介していただき、イタリア文学の奥深さを改めて感じることができました。
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翻訳は「あらかじめ負けの決まっている闘い」という言葉が印象的でしたが、翻訳作品が世に出るまでは、的確かつ魅力的な訳語を生み出すための相当な苦労があり、その反面、必死に考えてそれが形になったときは何物にも変えがたい喜びがあると語ってくださいました。このお話を踏まえてお2人の作品を読めば、また違った発見があるのではないでしょうか。さらに、原作と読み比べれてみれば、この言葉の意味がよくわかるはずです。

でも、まだまだイタリア語の原作を読むなんて無理・・・と尻込みされている学習者の方も多いのではないかと思います。そんな方向けのコースが4月15日(水)より開講いたします。白崎先生&関口先生による特別共同講座「名作短編で学ぶイタリア語(番外編)」です。お2人は、昨年共著で『名作短編で学ぶイタリア語』(ベレ出版)を出版されました。本書は、完全対訳に文法・文型の解説を加え、イタリアの小説を原文で味わえるイタリア語学習者にとって大変役に立つ内容となっていますが、授業では、この本に収めきれなかった2つの短編を取り上げます。

全6回のうち、前半3回は、関口先生によるカルヴィーノの短編集“Gli amori difficili”より“L’avventura di un automobilista”を、後半3回は、白崎先生によるヴェルガの短編“エクス X”を読んでいきます。

イタリア語の作品を原語で読んでみたいけれど、自分ひとりではなかなか細かいところまで読み取れないという方、ぜひご参加ください。読み物がはじめての方でも、きっと原作を読む楽しみが実感できるはずです。

白崎 容子

白崎 容子

講師プロフィール:

白崎容子(しらさき ようこ)
東京外国語大学修士課程修了。元慶應義塾大学文学部教授。日伊協会理事。
主な訳書に、G.ロダーリ『二度生きたランベルト』(平凡社)、L.ベンティヴォリョ『わたしのヴェルディ』(音楽の友社)、P.アントネッティ『フィレンツェ史』(共訳、白水社))、M.プラーツ『ローマ百景 建築と美術と文学と』 /『官能の庭 マニエリズム・エンブレム・バロック』(ともに共訳、ありな書房)など、著書に『トスカ イタリア的愛の結末』(ありな書房)ほかイタリア語学書などがある。

関口 英子

関口 英子


関口英子(せきぐち えいこ)
旧大阪外国語大学イタリア語学科卒業。翻訳家。児童書から映画字幕までイタリア語の翻訳を幅広く手掛ける。主な訳書に、G.ロダーリ『猫とともに去りぬ』、P.レーヴィ『天使の蝶』(以上、光文社古典新訳文庫)、C.アバーテ『風の丘』(新潮社)、R.サヴィアーノ『コカイン ゼロゼロゼロ』(共訳、河出書房新社)、I.カルヴィーノ『マルコヴァルドさんの四季』(岩波書店)などがある。

*イタリア文化会館によって2014年に新設された同賞は、イタリア語から日本語への優れた翻訳書を表彰するものです。第1回は、2012年1月~2014年6月に出版された翻訳作品の中から下記の2点が選ばれました。

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■白崎容子、尾河直哉訳『ピランデッロ短編集 カオス・シチリア物語』(白水社、2012)
■関口英子訳『月を見つけたチャウラ ピランデッロ短篇集』(光文社、2012)

※尚、2015年春期イタリア語講座では、白崎先生&関口先生による特別共同講座「名作短編で学ぶイタリア語(番外編)」を開講いたします。詳細は、こちらをご参照ください。