2015年日伊協会 連続文化セミナー 『古代ローマの皇帝たちとそのイメージ』
第3回 アウグストゥスの時代― 文献史料に見られる理想のローマ皇帝像 ― のご案内


日本語 文化
古代ローマでは、モニュメント、彫像、碑文などを通じて、皇帝たちは自らのイメージを人々に伝えていました。現在でも、彼らが残した記録物は地中海やヨーロッパ各地で目にすることができます。ローマ皇帝たちは、これらの記録物を通じてどのようなイメージを伝えようとしたのでしょうか。また、皇帝のイメージはどのように利用されたのでしょうか。この全5回の連続セミナーでは「イメージ」を手がかりとして、歴史や美術など様々な立場から古代ローマの皇帝たちの姿を紹介したいと思います。
roma3-1共和政後期、元老院の有力貴族たちが、共同体ローマよりも個々の利益を優先させ、互いに争うようになっていました。その内乱状態をおさめたのは、ユリウス・カエサル(英語でジュリアス・シーザー)の後継者オクタウィアヌスです。

前30年、オクタウィアヌスはライバルのアントニウスを倒し、地中海周辺全域に広がる「ローマ帝国」の単独の支配者になりました。そして前27年、内乱をおさめるために保有していた全権を「元老院とローマ国民」に返還すると、「尊厳なる者」という意味のアウグストゥスという称号を付与されます。

こうして初代皇帝アウグストゥスが誕生し、帝政と呼ばれる時代が幕を開けました。アウグストゥスは、共和政の公職を兼任することで絶大な権力を自身に集中させる一方で、自身は元老院議員の第一人者(プリンケプス)にすぎないとし、共和政の復興を主張します。

広大な地中海世界を支配するため、アウグストゥスはどのような統治システムを生み出し、その中で自身についてどのようなイメージを提示したのでしょうか。様々な史料から当時の理想の支配者像をさぐりつつ、ローマ皇帝の支配について考えます。

講師紹介:
■中川 亜希(なかがわ あき)
東京大学大学院総合文化研究科学術研究員。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得退学。ボローニャ大学歴史(古代史)学科博士課程修了。PhD。立教大学、東京女子大学、清泉女子大学、日本女子大学、立正大学非常勤講師。共著に『古代地中海世界のダイナミズム』(山川出版社)、『ラテン碑文で楽しむ古代ローマ』(研究社)、『ローマ帝国と地中海文明を歩く』(講談社)、『イタリア文化事典』(丸善出版、「宗教の変遷」「ローマの政治と社会」「古代ローマの思想と文学」を担当)。
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2015年の連続文化セミナーは、「古代ローマの皇帝たちとそのイメージ」をテーマに、5回シリーズで開催いたします。

受講料:各回とも会員2,000円、受講生・一般3,000円
会場:各回とも日伊協会青山教室 石川記念ルーム(201号室)
時間:各回とも18:30~20:00

第4回6月19日(金)ローマ皇帝と馬 ―美術作品からの考察―
講師:中西麻澄(東京大学大学院総合文化研究科学術研究員)

第5回7月13日(月)変容するコンスタンティヌス帝 
講師:田中創(東京大学大学院総合文化研究科准教授)

申込名開催日時間会場参加費備考
S-SR35/15(金)18:30–20:00 青山
石川記念
ルーム
201
一般/受講生3,000州長
日伊協会会員2,000