もうすぐクリスマスである。子供たちはクリスマスツリーを飾り、親が用意してくれるクリスマスケーキを楽しみにし、サンタクロースが持ってきてくれるプレゼントに胸を膨らませている。だが、子供は大人が考えるより知恵があり、クリスマスプレゼントは親が買ってくることを知っている。ただ、親をがっかりさせないために、まるでサンタクロースが持ってきたような顔をして喜んでみせるだけだ。
例えば、あなたは何歳くらいのときにサンタクロースが実際には存在しないことに気がつきましたか? イタリアでは早い子供は3歳くらい、遅い子供でも7歳になれば気がついているといわれる。
しかし、いずれは分かるとしても、子供が幼い時は子供の夢と想像力を養ってやりたい。
トナカイに引かれたソリに乗って、赤い帽子をかぶり赤い服を着た白いヒゲのサンタクロースのおじいさんが、遠い北の国からプレゼントを運んでくるのを楽しみにさせてあげたいのだ。
プレゼントにしても、今に親の懐具合を考えて「このくらいの額なら無理をしないで買えるだろう」と子供ながらに親に気を使う年頃になるものだ。せめて幼いうちはメルヘン(童話)の世界で遊ばせたいものだ。
坂本鉄男
(2014年12月21日『産経新聞』外信コラム「イタリア便り」より、許可を得て転載)