IFAイタリアフード協会とのコラボ企画の第一弾「IFAオリーブスペシャリスト養成講座」開講に先立ち、3月24日(月)に体験ミニセミナーが行われました。講師は日本オリーブオイルテイスター協会代表で、数々の講演や執筆活動をされている長友姫世さん(昼の部)とAISO認定オリーブオイルソムリエの大石知子さん(夜の部)です。講演内容はイタリアオリーブの特徴やオリーブオイルの種類、その精製法に至るまで、知っていそうで知らないオリーブオイルの奥の深さを実感する講座となりました。
まずは原料となるオリーブの品種、それもイタリアとスペインのオリーブの違いは驚きの連続でした。オリーブの品種は世界中で1,300種も存在しますが、イタリアが土着品種世界一、凡そ半分の600もの原生種があること、そして搾油場の数も圧倒的に多い。それに対してスペインはオリーブ栽培面積で第一位なのですが、原生種で300程度、実際に栽培されているのは片手の数ほどでほとんど生産量を占めるとのこと。栽培方法もイタリアが6メートル間隔でオリーブの木を植え、風通しのいいところで栽培されているので、何百年も前の木からオリーブが収穫出来、「イタリアではオリーブの木は死なない」と呼ばれているのに対して、スペインではもっと狭い間隔で棚のような形で超密集栽培と呼ばれる方法を採用しており、風通しが悪いので(もちろんそうならないような努力をしているのですが)病害虫が発生する可能性が高くなり、15年から20年でオリーブの木を伐採し、新しい木を植え替えています。ここは大きな違いと言えるでしょう。
それには理由があります。即ち、スペインでは広い土地に大量栽培に適した品種を機械を使って剪定や収穫しているの対し、イタリアは丘陵地が多く、機械が入り込めないような土地にオリーブを栽培せざるを得ないこと、原生種が多いということは、それぞれの土地にそれぞれの品種があり、生産農家の規模が小さいということ。その結果、イタリア農家では人件費や手間がかかり、どうしてもコスト高になってしまいます。従ってそこから生み出されるイタリアのオリーブオイルは(価格競争では勝負できないので)、品質での差別化を図らないと生き残れない、その為に最先端の技術をいち早く取り入れた農法で、それぞれの土地でそこに根ざした栽培をしているということになります。もちろんこれはあくまで一般論であり、すべての農家がそうだという訳ではありませんし、イタリアがよくてスペインが悪いという意味でももちろんありません。
今日の講座ではこの後、オリーブオイルの違い(ヴァージンオリーブオイル、精製オリーブオイル、オリーブオイル、オリーブ残滓油)、オリーブの精製法、その後実際に3種の異なる特徴のオリーブオイル(リグーリア、トスカーナ、シチリア)のテイスティングをしました。オリーブオイルだけでなく、トマトやブルスケッタ、チーズと合わせて食してみると、また違った味わいを実感していただけたと思います。こうした背景を知ると、世界中のオリーブオイルの中から、どのオリーブオイルがいいのかを見分ける見方、使い分ける為の見識が備わってくるように思えます。この本講座は6月より3~4回の講座として予定されています。日程は決まり次第HPでご連絡いたしますので、是非ともご参加下さい。