概して若いイタリア人女性は、上半身に比べて脚が細い人が多く、足首は特に細い。このプロポーションは、年齢とともに上半身が大きくなっても変わらない。このため、安定性に欠けるのか、高齢女性の脚の骨折は非常に多いという。
また、イタリアの住宅の床は、大理石やタイル張りが多いため、転ぶと骨折する危険性が大きい。
イタリアのマンションのエレベーター普及率は世界でも上位であるとされ、階段を歩いて上り下りすることが少ない。
5階に住む私の場合も、各階2世帯ずつしかないのにエレベーターが2台あるから、過去10年ほどを振り返っても2度か3度しか1階まで歩いて下りた記憶がない。これでは足腰が弱くなるのも当然だ。
最近のようにガソリン価格が高騰してくると少しは使用頻度が減ったように思えるが、イタリア人は車への依存度がとても高い。
病院でも整形外科が一番、混んでいるという。患者が多いからといって名医も多いわけでもないようだ。医療事故訴訟の件数が最も多いのも、整形外科だという。
考えてみれば、普段から歩いて足腰を鍛えるに越したことはない。私も明日から実行しよう。
坂本鉄男
(2014年3月9日『産経新聞』外信コラム「イタリア便り」より、許可を得て転載)