公益財団法人 日伊協会
坂本鉄男 イタリア便り
坂本鉄男 イタリア便り 法王の資質とは
「パリのテロの後だけに、予定していた旅行は延期しよう」などと思う人は法王になる資質はない。ローマ法王フランシスコは、11月25日から30日まで予定通り、平和と和解と内紛の停止を諭すため、ケニア、ウガンダ、中央アフリカの3カ国を歴訪中である。 だが、この3カ国ともテロの危険性は高く、ケニアの首都ナイロビでは2013年のショッピングモールの襲撃事件、ウガンダの首都カンパラでは10年夏のサッカーW.... Read more
坂本鉄男 イタリア便り 枢機卿の広大な住居
ローマ法王は枢機卿の中から選ばれるように、枢機卿とはカトリック教会内の序列では法王に次ぐ高位聖職者である。 最近、法王庁内部の暴露本が出されたが、その中の話題の一つに前国務長官ベルトーネ枢機卿の住居がある。 清貧をモットーとするローマ法王フランシスコは、サン・ピエトロ広場を見下ろす建物に法王専用の住居兼執務室を持っているが、広くてぜいたくだとして執務にだけ用い、普段は法王選挙の際に世界.... Read more
坂本鉄男 イタリア便り 子連れ受刑者の暮らし
「罪を憎んで人を憎まず」などと言っても、イタリアにいるとむなしく感じることもある。 例えば、幼児を抱えた女性の受刑者の場合だ。乳飲み子なら母親とは離れられないし、乳児にも母親と一緒にいる権利があるのではないか。 日本では子連れの女性受刑者がどのように扱われているのか知らないが、イタリアの例を報告する。イタリア法務省の発表によれば、7月15日現在で母親と一緒に刑務所内で暮らしている幼児の.... Read more
坂本鉄男 イタリア便り “柑橘王国”で人気呼ぶ日本のミカン
イタリアではミカンもブドウもタネ無しはほとんどない。ところが、最近わが家で購入するミカンは甘くてタネがない。八百屋に聞かせたところ、「ミヤカワ」という名前だという。なんと日本名ではないか。早速調べたら、温州ミカンの早生の一種で、1910年ごろ現在の福岡県柳川市の宮川氏宅で発見された原木の改良種、つまり日本原産ミカンであるという。 ゲーテの小説を原作にトマが書いたオペラ「ミニョン」でも、「君よ.... Read more
坂本鉄男 イタリア便り 果たして「御利益」は…
いよいよあと1カ月少々で「特別聖年」が始まる。神がカトリック教徒の罪を特別に許すのが聖年だが、特別聖年は、特別な目的があるときにローマ法王の権限で宣するもの。 約1年間の聖年期間中にローマには2500万人以上の巡礼者と関連の観光客がやってくると予想されるだけにローマ市当局は大わらわだ。慌てている原因は2つある。 第1の原因は、法王フランシスコが今春、出し抜けに特別聖年を宣言したことだ。.... Read more
坂本鉄男 イタリア便り ブドウ畑のお値段は
わが国でもよく知られているイタリアワインをごく少数だけ挙げるならば、赤ワインなら北イタリアの「バローロ」と中部イタリアの「ブルネッロ・モンタルチーノ」であろう。 このほか白ワインでは最近北伊チロル地方のものが有名になっている。もっとも、ワインの名前ならデパートやワイン専門店で簡単に知ることができるので、本日、お知らせするのは、専門誌が調査した昨年度のこうした有名ワインの産地のブドウ畑の平均価.... Read more
坂本鉄男 イタリア便り イノシシ被害「自業自得」
日本と同じようにイタリアもイノシシ被害の増加に頭を悩ませている。イノシシはイタリア全国で100万頭生息すると推定され、毎年、農産物被害だけでなくイノシシに襲われて死傷者も出ている。このため各州当局は毎年の過剰な生息頭数を推計し、射殺許可頭数を決めている。 例えば、今年は約20万頭にも増えた中部イタリアのトスカーナ州では、農業局が12万頭を適正生息数としているため、8万頭まで射殺許可が出るはず.... Read more
坂本鉄男 イタリア便り 大統領年俸をはるかに超える「労働貴族」 絹ワイシャツとカシミヤセーター
イタリアの3大労組の1つで公称組合員数437万人のCISL(労働者組合総同盟)の書記長ら大幹部の高額報酬が内部告発され、問題になっている。 それによると、ラファエロ・ボナンニ前書記長の年額報酬は、2006年の書記長就任時は11万8千ユーロ(約1600万円)、11年の退職時には33万6千ユーロ(約4500万円)で、大統領年俸をはるかに超える額に達していたという。彼は退職後の自分の年金を高額にす.... Read more
坂本鉄男 イタリア便り 「慈悲の年」まで2カ月
ローマ法王の権限は絶対的なものだけに、この突然の宣言はカトリック教会全体に大きな驚きを与えたが、はや、特別聖年の始まりまで残すところ2カ月となった。 聖年とは、神がカトリック教徒の罪を特別に許す年で、1300年に制定された。初めは原則として50年ごとに行われたが、次いで25年ごとにほぼ定着してきた。つまり、この前の聖年は2000年で、次の聖年は2025年になるわけだ。 だが、特別な目的.... Read more
坂本鉄男 イタリア便り 65歳以上の離婚激増
昔、カトリック教がイタリアの国教であった時代には、結婚とは「生涯解消のできない聖なる取り決め」であった。イタリアが共和国になって離婚法が成立した後も、過去40年間は離婚には裁判所の判決と最低3年間の別居が必要であった。 ところが、今年5月から離婚法が大幅に簡素化されて裁判所の管轄から離れ、必要な別居期間も夫婦合意の離婚であれば6カ月に短縮されたのである。 さて、離婚法の簡素化は当然なが.... Read more