坂本鉄男 イタリア便り 好みは若い半裸体女性

 芸術の秋である。本日は変わったミス・コンクールについてお知らせする。

 去る7月にある世論調査機関がイタリア人男女1032人に古代から19世紀までの芸術作品中の「最高の美女」を選ばせた。

 1位は、ローマのボルゲーゼ美術館所蔵の彫刻家カノーヴァ(1757~1822年)作の大理石像「パオリーナ・ボルゲーゼ」であった。クッションに右手をつき頭を支えながら上体をもたれさせ下半身はベッドの上に横たえた美女の半裸像である。

 2位はナポリの国立考古学美術館所蔵の大理石像「カリピジャ(お尻の美しいの意)のビーナス」だ。古代ギリシャでは彫刻の題材によく取り上げられた姿だがこれは紀元2世紀の作といわれる。

 ビーナスが衣を上げて振り向き、肩越しに自分の美しいお尻と脇腹を見ているさまはなんともなまめかしい。3位は、イタリア・ロマン派絵画の巨匠フランチェスコ・ハイエツ(1791~1882年)の「オダリスカ(トルコの後宮の女性)」で、個人所蔵で普通は画集などでしか見られないものだ。これも胸と下半身を白い布でかくした若い女性の横たわった姿である。

 結局、現代イタリア人の嗜好(しこう)とは若い半裸体女性像であることが判明した次第。ちなみにダビンチの「モナリザ」は62位であった。

坂本鉄男
(11月6日『産経新聞』外信コラム「イタリア便り」より、許可を得て転載)