9月17日より、イタリア政府は財政赤字削減策で、これまで20%の消費税が掛かっていたカテゴリーに対し、税率を1%引き上げた。一方で、10%および4%の税率のカテゴリーのものは据え置きとした。4%のものとはパン、パスタ、牛乳、食用油、果物や野菜など日常生活に必要な食料品と1軒目の自宅の購入費が含まれる。また、10%のカテゴリーには肉や魚、2軒目の自宅の購入費、電気・ガス料金、飲食店代金、映画館・劇場・競技場入場料などが入る。ちなみに医療費は0%だ。
今回1%引き上げられた主な項目は、高級食品、各種飲料、ガソリン、衣料品、靴類、化粧品類、電気製品、自動車の購入代金や、電話料金、パーマ・理髪代、弁護士・税理士への謝礼などである。
生活必需品を据え置きとした今回の消費税率引き上げの家計への影響は、左翼系調査機関の調査で、年92ユーロ(約1万円)の負担増。消費者関係団体は同385ユーロ増と算出し、予測にはかなりの相違がある。
とはいえ、北欧の福祉国家スウェーデンやデンマークの25%と比べ、イタリアの消費税率は、欧州連合(EU)内では極めて高い数字とはいえない。また、「国を救うための消費税引き上げは、選挙での得票数の減少につながる」と考える有権者も政治家もいない。
坂本鉄男
(9月25日『産経新聞』外信コラム「イタリア便り」より、許可を得て転載)