世界中で人々の信仰心が薄れているといわれる昨今、神に一生をささげるためカトリック修道女を志願する女性の数が激減しているという。
特に欧州方面の志願者の減少が目立つ。そう遠くない将来に、往年の名画「尼僧物語」でオードリー・ヘプバーンが主人公役を演じたような白人修道女はいなくなるかもしれない。一方でアフリカやアジア出身の修道女が急増しているのも事実だ。
修道女には2つのタイプがある。まず、外部社会との接触を完全に断ち切って修道院に籠もり、「祈りと自活のための労働」に一生、従事する女性と、修道院で祈りを中心とする生活をしながら、学校や病院などで外部との接触を保ちながら、教育・看護・慈善活動に従事する女性がいる。
イタリアには現在約9万人の修道女がいて、このうち約8%の約7千人だけが全国500カ所以上の女子修道院に籠もり、祈りと自活のための仕事に従事している。その半数は平均年齢60歳を超え、女子修道院の中には後継者不足で閉鎖の危機に直面している所も珍しくない。
あなた、お酒に酔った勢いで、ハムレット気取りで、彼女に「尼寺に入ってしまえ」などと言わない方がいいですよ。両手を広げて迎えてくれる女子修道院がたくさんあるのですから。
坂本鉄男
(6月5日『産経新聞』外信コラム「イタリア便り」より、許可を得て転載)