最近、「ローマで5月11日に大地震が起きる」という噂が流れている。たまたま電話があったわが家の保険会社に尋ねてみると、「本当なんです。地震保険の問い合わせまであるんですから。わが社では今までローマでの地震保険なんて一度も扱ったことがありませんのに」と言うではないか。
しかし、地震には関係がないとはいえ米中枢同時テロは2001年9月11日、東日本大震災が3月11日となると、5月11日地震説も、いささか信憑(しんぴょう)性があるような気がしてくる。
とうとうローマの地元紙もこの風評を取り上げた。5月11日のローマ地震の仮説を立てたのは、1979年に死去したラファエレ・ベンダンディ氏という独学の地震学者だそうである。
同氏は太陽、月、さまざまな星の動きを観測した結果、これらの天体が並ぶときに発する巨大なエネルギーが5月11日に大地震を起こすと予測したのだという。
地元紙のインタビューに国立地球物理学・火山学研究所は「地震が星の影響で起きるですって? ばかな」と一笑に付したという。だが同紙は「世界で最も権威があると信じられてきた日本の地震学者も米カリフォルニアの地震学者も、一度も大地震を予測できたことはない」とも付け加えていた。
坂本鉄男
(5月8日『産経新聞』外信コラム「イタリア便り」より、許可を得て転載)