ここで言う「ミニカー」とは、例の自動車の模型ではない。欧州連合(EU)諸国内で小型バイクの免許があれば簡単に乗ることができる小型軽四輪車のことである。
この小型車はEU規定によると総重量は350キロ以下、最高速度は時速45キロで外見は2人乗りの四輪車である。小型バイクと同様に14歳になれば運転でき、二輪車と違ってボディーがあるから雨風は防げる。
値段は約120万円もするが子供が14歳になると購入してやる親が多い。EU諸国内では32万台が走っているが、台数ではフランスが一番多く、次いでイタリアで、イタリアではローマが一番多い。だが、この小型四輪車は重量が軽く安定性に問題があるといわれ、特にローマのように道路の舗装が悪い町では事故の発生率が極めて高い。
実際、2005年と09年を比較すると、ローマ市内での事故数は310%増というありさまだ。二輪車による事故と比べて死者は少ないが、09年には152件の事故が発生し、重傷を含む負傷者数は118人の多きを数えている。
幸いこの4月1日から、小型バイクおよびこの四輪車に乗るために筆記試験のほか実地試験も義務づけられた。一番悪いのは買ってやる親だというのは分かり切ったことだが。
坂本鉄男
(4月17日『産経新聞』外信コラム「イタリア便り」より、許可を得て転載)