今から150年前の1861年3月17日、トリノで初のイタリア議会が開かれイタリア王国成立が宣言された。つまり、それまでイタリアとは単に地理的名称であったものが、正式に国家として成立した日であった。
この記念すべき150周年を祝うため、イタリア政府は1月28日の閣議で3月17日を今年だけに限り、祝日とすることに決めたのだが、「祝日は構わないが国民休日には反対」との声が各界から起こったのである。
「国民休日」案には政府与野党および最大労組「CGIL」も財界人の多くも賛成したが、連立与党の一角である「北部同盟」所属の閣僚は「財政難のおり予算の裏付けがない」と祝日決定後も反対している。
また、伊経団連会長マルチェガリア女史も「この経済危機に生産性を落とす」との理由で反対、3大労組の一つ「UIL」も当初は反対し、ジェルミニ教育相も学校の休日には反対していた。
結局、祝日予定日まで1カ月少々に迫ったので、政府は今年の11月4日に予定されていた「陸軍記念日」の祝日を普通の労働日として、経済的・財政的不満を抑え、政令で3月17日の「祝日兼休日」に踏み切った。休日乱造大国の日本では考えられない現象だ。
坂本鉄男
(2月27日『産経新聞』外信コラム「イタリア便り」より、許可を得て転載)