このためにローマから久しぶりに帰られた坂本鉄男先生は、過去100年に及ぶ日伊間の文化交流の特徴や問題点を率直なお人柄を反映してユーモアに溢れつつも、時には苦言を呈する基調報告をされ、その後の熱気溢れる議論を見事に先導されました。
「イタリア熱」に陰りが見られる昨今ですが、日本人のイタリアへの関心はライフスタイルや社会へと移っています。イタリアでの日本への関心も文学作品のイタリア語訳出版でようやく高まりつつあります。グローバリズムの浸透の中で、文化の多元性の重要性が高まっている現代、日本によるイタリア文化の吸収という一方交通でなく、「対等な」相手文化への相互理解の流れの重要性と日伊の関係機関の間の連携強化の必要性が改めて確認されました。今後連絡ネットワークの強化を検討するという合意も出来ました。
日伊相互理解の促進という観点から、日伊協会はこの夏に初めてボローニャ大学の学生10名強のために5週間に亘る日本語の夏季講座をこの<石川ルーム>を活用して行います。在京のイタリアの人たちに日本語や日本文化に触れてもらうことも重要と思います。
なお多くの受講生の方がこれらの学生のホームステイにご協力下さり、厚くお礼申し上げます。
日伊協会会長 英正道