昔、天気予報の的中率が低かった時代に、遠足や運動会の前日、下駄を放り上げ自分で天気を占ったり、てるてる坊主に頼ったりした経験をお持ちの方は多いに違いない。
最近の新聞によると、英BBCが90年間続いた英国防省所属気象部との契約を打ち切るらしい。もちろん、理由は的中率の悪さ。イタリアの場合も、国営テレビの予報は空軍の気象班が担当し、軍服姿の尉官か佐官級の予報官が解説する。
さて、的中率だが、1975年当時は60%だったが、最近のように気象衛星から直接映像が入る時代になると、的中率も大幅に向上して90%は当たるらしい。
だが、的中率90%とは365日のうちの37日は当たらないことである。視聴者は勝手だから、万一、的中しない37日に連休や自分の旅行予定日がぶつかれば、あとの328日が当たっていようと「それみろ、天気予報なんて信用できない」ということになる。
イタリアの場合、当日の予報的中率は98%でも、3日目は79%、5日目は70%と急減する。また、イタリアの地形は予想が難しいのか天気の「太陽」、曇りの「雲」、雨の「降雨」のマークが3つ重なっている日も多い。
いっそのこと、予報が非常に難しい日には、ヒゲの将校を引っ込めて美人アナウンサーを出し、「当たらなくてもご免なさい」とニッコリさせればいいのにと思ってしまう。
坂本鉄男
(2月28日『産経新聞』外信コラム「イタリア便り」より、許可を得て転載)
(2月28日『産経新聞』外信コラム「イタリア便り」より、許可を得て転載)