坂本鉄男 イタリア便り お金持ちの多い国

 イタリアには、特に服飾またはその関連部門で、一代で巨額の資産を築いた人が多い。

 有力紙が今年初めに伝えたところによれば、昨年の株高でこの金持ちたちの資産が、一層膨らんだという。最大の株式資産の持ち主は、個人ではなく財務省で、優良な半国営企業株の値上がりにより、一昨年比6%増の総額353億ユーロを所有するから、国民にとっては心強い話といえるかもしれない。

 個人で、日本でも商標などで名前を知られているお金持ちをみれば、世界的な眼鏡メーカーの「ルクソティカ」の持ち主が37%増の80億ユーロ、服飾メーカーのベネトン一族が34%増の62億ユーロ、リキュール「カンパリ」の持ち主一族が54%増の10億ユーロ、「トッズ」の商標で知られる靴メーカーの持ち主が54%増の同じく10億ユーロなどとなる。ちなみに1ユーロは約122円だ。

 ベルルスコーニ首相も一代で巨万の富を築いた一人で、彼の資産は36%増の39億ユーロとなった。これを単純計算すると、昨年は月額8000万ユーロ以上が株の値上がり分として懐に入ったことになる。離婚手続きを進めている夫人が要求しているとうわさされる離婚後の扶養料は、推定で月額350万ユーロというが、彼の資産からすれば屁のかっぱだ。

 リビア最高指導者、カダフィ大佐も投資した金融株が大当たりして、イタリア国内でため込む株式資産は、18億ユーロにのぼっているということだ。

坂本鉄男
(2月7日『産経新聞』外信コラム「イタリア便り」より、許可を得て転載)