イタリア マンドリン通信<スフォルツァ城中庭コンサート><イタリアでのある偶然の出会い><クレモナ見本市での演奏参加>

<スフォルツァ城中庭コンサート>

8月下旬に、ミラノ市よりスフォルツァ城中庭コンサートの打診があり、ヴァカンス中のメンバーに参加できるかどうかの連絡がミラノオーケストラのプレジデントから入り、何とか22名が参加となり、コンサートを受けることになりました。夏2か月練習していないため、コンサートまで週2回の計4回の練習を行い無事その日を迎えました。前回は2020年の夏でしたから、久しぶりで皆張り切って日にちが間近にもかかわらず、集客に頑張りました。私の友人も5人来てくれ、その上その日は「中秋の名月」で素晴らしい夕暮れで、ライトアップされたそのロケーションはもううっとりとする光景でした。

夕方早めに念入りのサウンドチェックを行ったので、コンサート開始まで時間もあり、あるメンバーとその友人達とアペリティーボする余裕すらあるものでした。もうすぐ夏も終わりに近い、暑さも峠を越え涼しい夜で、私はたっぷりのグラスワインを頂き、すっかりリラックス出来て本番に備えました(笑)。

聴衆の熱い期待が舞台に寄せられている感あり、照明も鮮やかな舞台、中庭からの中秋の名月を楽しみながら、あっという間の1時間半の舞台を終えました。アンコールも3回のリクエストに応え、幸せな時間を総立ちの聴衆と分かち合えました。

私達のマンドリン音楽は、正当クラッシックとは異なり、どちらかというと聴衆が分かりやすい、気持ちが盛り上がるものが中心です。特に私達のオーケストラは固い音楽は避けて知られた、乗りやすい曲が殆どなので、いつも聴衆は満足の笑顔となります。

今年から入団したアルゼンチンの女性ギターメンバーも、満面の笑みで喜んで居ました。「最高だった!」と。フランスからのほぼレギュラーメンバーの女性マンドリン奏者も駆けつけて、我ら外国人メンバー4人(もう一人はロシア女性)はオーケストラでの重要なポジションを担当していると改めて感じました。9月からの新しいシーズンをこのような素敵な夜のコンサートでスタート出来て本当に嬉しい事でした。

<イタリアでのある偶然の出会い>

今年の2月頃、YouTubeのサイトで古い番組のビデオを見ていました。タイトルは「グッと!地球便」で、海外で活躍している日本人を紹介する番組です。

その日はクレモナで工房を持ちコントラバスを製作している日本人男性の回でした。クレモナは楽器製作の町で有名ですが、(コントラバスなんて珍しいなあ!)と観ておりました。すると、番組は東京の主人公のご両親を訪ねているシーンとなり、紹介されてびっくり!なんとお父様が私が日本で長く働いた会社の同じ部署での同僚でした。

そこで思い出したのが、当時よく彼の息子さんはイタリアのクレモナで楽器を製作しているという話を聞きました。(あ~この方が息子さんだったのか!)と。クレモナで楽器製作をしているなら、会いに行こうかなとその時思ったのです。半年が経過し、9月にこの事を思い出し、取り合えず連絡先を調べようとfacebokで検索しましたらすぐ見つかり、メッセンジャー(メール)で問い合わせをしました。

自分がこのビデオを見て、お父様と以前一緒に働いていてお世話になったことを書きましたら、すぐに返事が届き、連絡先を教えてくださり、私と会うことを了解してくださいました。多分大人になってから、イタリアに渡り、長い間日本を離れていたことから、お父様の仕事については殆どご存じないと。

まあ、通常親の仕事について知っている人は少ないでしょう。そして彼が言うには、現在日本に戻っており、ただし工房とアパートはクレモナに残してあるとのこと。お父様は残念ながら2017年に他界されたとのことでした。尚更、是非とも会ってお話ししたい気持ちが沸きました。更に偶然9月下旬から約2週間クレモナにいらっしゃるとのお話で、それではクレモナに私が伺うという事になりました。

自分でも急に思い出しすぐに探して、イタリアで会えるなんてご縁なんだろうと、お父様のお導きなのかなと。

その後連絡を取り合い、私はその後クレモナの工房を訪ねました。ビデオで見た素敵な工房でそこには、若いアジア女性がヴァイオリン製作をされてました。彼は、年に数回仕事でイタリアに戻っているそうですが、普段は東京の工房で仕事をしているとのことでした。

私は会社時代の彼のお父様との関わった仕事のお話、いつも忙しいのに顔に出さず表情は変わらなかったことなど逸話をお話しして、興味深く聞いてくださいました。73歳で早いご逝去をとても痛み、こうして息子さんと懐かしいお話出来たことは本当に良かったと思いました。この話を友人にしたら「それはお父様の供養になりましたね」と言われました。

クレモナの楽器店を訪ねたり、ランチをご一緒して美味しいローカル料理を頂きながらイタリアと日本の音楽話も出来、実りある時間を過ごしました。

<クレモナ見本市での演奏参加>

「Cremona Musica Internazionale Exhibtions」への演奏出演のためミラノオーケストラはバスでクレモナに向かいました。

午前中は小雨でしたが、幸い午後から陽が差してきました。昨年も寒い雨日でした。演奏は12:30以降でしたので、約1時間程時間あり、見本市会場で楽器のブースを見ながら、知り合いの楽器製作者を探しました。彼を知っている製作者のブースに行き、聞いたところ「今日は居ない」とのことで少しがっかり。ある楽器のことで相談したかったのですが、ミラノ在住なのでまた後日考えることにしました。

でも、その製作者に聞いたら向いのブースに居るその製作者を紹介してもらい、直接聞くことにしました。でも、コンサートの時間が迫っており、一応自分の目的だけをお話しして、名刺をもらいました。その製作者はAlessandriaというピエモンテ州の町なのだそうですが、ミラノには良く来るというので、改めて連絡することにしました。

私達の演奏時間は約30分位でしたが、結構観客も増えて、思いのほか良い演奏で終えられ、アンコールまでも声がかかり、楽しい時間を過ごせました。いくつかのグループが続いて演奏する、スポット的なコンサートでアンコールなんて聞いたことがありません。でも、観客の笑顔は私達を嬉しくさせました。

演奏終了後は、すぐにバスに乗り、お決まりのPizzeriaに直行!昨年も同じお店で、嬉しくなりました。美味しいのです。総勢20名位でしたが和気あいあいに、バスですからワインもビールも皆飲めて、楽しく会話しつつ美味しいPizzaを頂きました。ちょっとした小旅行という感じで早めにミラノに戻れて良い一日でした。