<ミラノ・マタロン・コンサート>
毎年会員になっている、あるギャラリーでの「Trio Ankordis」のコンサートでした。プロデュースしている2人のピアニストに、昨年彼女達のCDを渡して広報宣伝をしていました。このマタロン美術館では、毎年11月から翌年6月まで、月1回会員に向けてクラッシック中心ですが、様々なジャンルのコンサートを提供しています。
今回私が紹介した「トリオ・アンコルディス」は、ピアノ・オルガネット(小型のアコーディオン・マンドリンの編成で、曲は主にピアソラのタンゴ曲が中心で、あくまでクラッシックは弾かないのです。勿論編曲は彼女らが行い、それぞれの楽器の魅力を活かしたオリジナリティー溢れるものです。まず他には見られない音楽スタイルです。
全員がピアノのディプロマを取得しており音楽のプロです。私はブレイシャでこのトリオのコンサートに行き、ミラノでも是非コンサートで弾いてほしいと願っていたものです。ついにその機会が訪れて、彼女達は勿論のこと私も自分のプレゼンが成功したことを喜びました。
このギャラリーは奥にあり、観客はおよそ50~60人規模のプライベート的空間です。なんと、soldo out で満員のお客様の熱気に包まれたなかコンサートが始まり、聴衆は始めて観る・聴くこの音楽を食い入る様に飲み込まれて行きました。MCはピアノ担当が、にこやかにそして魅力ある会話で更にお客様を引き込み、私はそのコンサートの成功を確信しました。
約1.5hを通しで演奏し、もう盛り上がりは彼女達も聴衆も共有して、2回のアンコールで全ての演奏が終了し、割れんばかりの拍手と「Brave!!!]の連呼で、私も感動で涙が出そうになりました。3人のもう演奏しきった安堵の笑顔は素敵でした。トリオ・アンコルディスはすっかり聴衆の心をとらえたようです。主宰者もシーズン最初のこのコンサートの成功を大変喜んでおりました。
<三夜連続コンサート>
11月の初旬の週末に、三夜連続同じミラノのホールでコンサートがありました。以前、このマンドリン通信に書きましたがミラノのスカラ座を小さくした、アンティークな劇場です。舞台も狭いのでミラノオーケストラ全員が乗れません。でも、小さいのでマンドリンの様な音が小さい楽器には相応しいとは思います。
同じブログラムとはいえ、三夜連続は結構キツイと皆言っておりました。ある程度人数は3日間ばらけて、なんとか終了しました。指揮者は、曲の合間にフランクに聴衆に話しかけたりするものですから、すっかりリラックスな雰囲気でした。
最終日には、指揮者の曲紹介に物足りないのか、ある年配シニョーラが指揮者が指揮棒を挙げた時、大きな声で「作曲者は誰なの? 説明してくれないとわからないわ!」と大きな声で言うものですから、一旦指揮棒を下げ説明する羽目になり小さな劇場は爆笑の渦に。それからは、指揮者は彼女のリクエストに答えて(?)、司会者の説明ありながら更に時代背景その他曲紹介を加えて説明するようになりました・・・親切。
そして、全曲終了後は熱い拍手とBravi!!!の連呼のなか、「Bis! Bis!(アンコール!)」とまあ、いつもながら続いた訳です。そして指揮者再登場し、アンコールにお答えすべく挨拶すると、すかさずそのシニョーラの発した言葉が「Eh il bis è obburigatorio!」(アンコールは義務よ!)でした。これには、またまた大爆笑でした。
この劇場は小さいながらも、結構本格的なクラッシックな劇場のコンサートですが、この掛け合いには笑えましたね。かなりフランクでユーモア(?)ある堅苦しくないコンサートでありました。これもイタリア人モード満載のユニークさに溢れ、まず日本ではありえない、微笑ましい?笑える楽しい時間となりました。本格的クラッシックコンサートでは、こんなことはないと思います。マンドリンという楽器が、聴衆には受け入れやすい聴きやすい親しめる音楽なんだろうなあと感じました。
<イタリア異常気象>
11月は晴れた日が数える位しかない雨の多い月でした。ニュースでご存知かと思いますが、ヴェネツィアのアックア・アルタ(満ち潮で水位が上がる)は有名ですがとんでもない高さの水位になり、水位を堰き止めるMose」という設備が完成していない政治のスキャンダラス問題も議論になり、毎日報道されてました。
南プーリアでは石の町マテーラが大洪水になり、濁流が町の道路の様々なものをなぎ倒して行く恐ろしい様を動画で見ました。また北イタリアでは、早すぎる豪雪により道路を閉鎖させ、雪崩を引き起こしとイタリア全土の様々な都市で異常気象による被害がこれでもかと襲いました。
日本でも大型台風による甚大な被害を受けましたが、ここイタリアでも同様の自然環境の、大きな変化を感じさせる出来事が度重なって起きています。今まで穏やかだった欧州大陸・地中海が地球温暖化による環境変化がじわじわと起きていることを痛感します。
来年は東京オリンピックが夏季に開催されますが、日本の報道を見ても不安材料が沢山あり、特に台風と暑さによる影響がイタリアに居ても心配でなりません。