イタリア マンドリン通信 <メンバーの追悼コンサート><ミラノ再発見ツアー参加><友人ピアニストのCD発売プレゼン><偶然の出会い>

<メンバーの追悼コンサート>

昨年11月に、長い闘病生活を経て亡くなったブレイシャのマンドリングループのあるメンバーを偲ぶコンサートがありました。私も数年間一緒に演奏活動出来たのでそれなりの思い出があります。控え目で笑顔が優しい温かい人でした。まだ58歳の若さでした。

当日は彼との思い出深い曲と、私達グループと親交のあるギタリストもソロ曲で参加し、開演は18時でした。小さい教会でしたが、彼の友人や仲間他沢山の方々で埋まり、熱気ある雰囲気となりました。

最初は彼の自転車仲間による思い出のビデオが映し出され、その代表者の挨拶のあとコンサートは始まりました。通常の演奏とは異なる「偲ぶ」演奏は、私達も聴衆もぐっと身近に寄り沿い合う密な雰囲気を感じました。

亡くなった友人の奥様はクラリネット奏者で、2曲私達の演奏に参加されました。また、彼から私の先生に提供された古いマンドリンが、あるブレイシャ在住の少女の楽器となり、彼女も1曲一緒に演奏しました。

写真の皆が身につけている赤の小物は、生前亡くなった友人が好きだった色です。温かい心が通いあう素敵なコンサートでした。

<ミラノ再発見ツアー ヴィジェバノ ツアー参加>

毎年10月から翌年の6月迄の間に5回程開催される、北イタリア日本人会の「ミラノ再発見ツアー」の11月版に参加しました。

通常はミラノ中心地での散策が中心でしたが、今回は少し郊外のヴィジェバノ(Vigevano)という町にバス仕立てで約35名の参加者でした。

*以下北イタリア日本人会会報のお知らせから*

~Naviglio Grande に沿ってLeonardo とBramante が創ったSforza家の町Vigevano へ~

イタリア国内でも最も美しいピアッツァの一つと云われているヴィジェーヴァノの廻廊広場。この広場にはお城への入り口があり、ミラノの君主であったルドヴィコ・スフォルツァの統治時代、1400年代後半にミラノのルネッサンスに息吹きを与えたレオナルドとブラマンテが、彼らの創造力により実現させた建物の集合体から成りたっています。レオナルドは斬新な厩舎をデザインしています。

とういうお知らせと美しい写真(北イタリア日本人会提供)に惹かれて、友人3人で早速申し込みました。

その当時天気が良くなくうっとうしい天気でしたが、当日は幸い雨が降らず曇り空でした。バスはナビリオ運河沿いを走り、イタリア人ベテランガイドのクリスティーナさんの運河の歴史の説明を聞きながら、その昔は運河の町ミラノであったことを想像しました。ミラノまで荷物を積んだ船は上流から流れるように作られ、漕がずに運ばれたのです。帰りは空の船で労力を掛けずに戻るという賢い方法だったそうです。

この運河は荷物の運搬だけではなく、ミラノの貴族が建てた別荘まで船で行き来があったり、周囲の畑への灌漑水として引き入れたり、農民が家から畑まで通う水路の役割もあったそうです。改めて感心しました。その後ムッソリーニが町の開発のためにミラノの運河の殆どを埋めてしまったとのことでした。

現地に到着して、早速美しい広場を見学し、現在に至るまでの歴史の説明を聞きながらミラノのスフォルツァ城とそっくりのお城を見学。その後、この町はイタリアの靴の生産地としても有名で、資料館があり特別な見学をすることが出来ました。

楽しみのランチは町から離れたアグリーツリズモで、安価な美味しいお料理を頂き皆満足してミラノに戻りました。とても落ち着いた雰囲気の町でミラノから電車でも近距離なので、また改めてゆっくり散策に来たいと思いました。

<友人ピアニストのCD発売プレゼンテーション>

毎月スフォルツァ城近くのギャラリーで行われるクラッシクコンサートを企画されているピアニストご夫妻のCD発売のプレゼンテーションが、ある音楽書店兼サロンで開かれました。

その場所は、ミラノ中心地よりやや外れたある建物の中庭を隔てた内部にあり、表からは見えない知る人ぞ知るという楽譜・書籍販売及びサロンでした。友人と参加し、そのCD作成にあたりお二人の曲に対する思いとそれぞれの曲説明、それに合わせて幾つかの曲を披露してくださいました。

CDタイトルは「FOUR SEASONS FOR HANDS」。日本人作曲家:中田 喜直氏の作曲の4手連弾のための組曲「日本の四季」とピアソラの「ブエノスアイレスの四季」が挿入されています。「日本の四季」には中田喜直氏が作曲された童謡・唱歌が織り込まれており、美しい日本の四季を流れるように歌い上げる曲で、その情景が思い浮かび思わず日本人であれば懐かしく口ずさんでしまう心打たれるものでした。

いらした方々は私も知っている方が多く、久しぶりに再会出来たり、改めて名刺交換したりと交流が深まりました。このサロンにはカフェが併設されており、プレゼンテーション後はお二人が用意してくださったアペリティーボで、お喋りと挨拶で時間を忘れてしまうゆったりとした時間を過ごしました。

<偶然の出会い イン・ブレイシャ>

イタリアでは、各地でクリスマスのイルミネーションが点灯し始めました。それぞれの町らしい綺麗なそれは、夜に外出したくなるウキウキさせるものです。今月最後のブレイシャでのグループの練習日に、町のイルミネーション見学をするためにミラノの友人も同行しました。

暗くなるまで、彼女をブレイシャの中心地を案内していたとき、ある通りで偶然、時々ブレイシャのグループと共演するあるギタリストに出会いました。彼は立ち話の中で、この夕方に私の先生の西山さんとある養老院でコンサートするので、観に来ないか?と誘ってくれました。

その施設はとても立派な建物で、私達の想像を超える豪華な養老院でした。1階にある礼拝堂の併設の広間には、電飾がキラキラとクリスマスツリーが飾られており華やかな雰囲気でした。出来た当初から評判の5つ星の養老院だとか。

コンサートは約1時間程の楽しく聴きやすい演奏曲の数々で、その養老院で過ごされている皆さんもとても和やかに音楽を楽しめた様でした。

西山さん曰く、1週間前に急に連絡あり依頼されたとのことでした。普段からそのギタリストとデュエットをされているので、そんな急な依頼でも息の合ったレパートリー曲を演奏出来たとのこと。

その後陽も暮れ、友人と美しいブレイシャのイルミネーションを見ながらドゥオモ広場の素敵なバールでアペリティーボして、彼女はミラノに帰り私は練習に参加しましたが、思いがけず良いひとときを過ごせました。