去る2日夜10時過ぎ、日本とベルギーの試合の直後、イタリア人の友人から電話があった。「日本チームは惜しかったな。ヨーロッパの強豪ベルギーと互角に戦ったのだから」という。この友人以外にどれほど多くのイタリア人サッカーファンがあの試合を見ていたかわからない。特に長友佑都選手と本田圭佑選手はイタリアチームで活躍していたから知名度は極めて高く、2人がボールを取るとアナウンサーの声が興奮気味になったほどだ。
さて、今回のW杯ロシア大会を見て、つくづく感じたのは腕や足や肩に入れ墨を入れた外国人選手の多いことだ。それも、選手によっては腕や脚全体に施している。
日本人の多くは伝統的に入れ墨に対してある種の偏見を持っているが、今回のW杯を観戦して分かるように、今や世界では入れ墨は普通の体の装飾になっているのである。
イタリアでは、皮膚科の専門医の中には、あとで消去したくなったときの困難さを述べて、入れ墨に反対する人が多いが、サッカー選手のみならず、有名な女性オリンピック水泳選手からテレビに出る女性まで堂々と入れ墨を見せている。
サッカーの試合を観戦しながら考えてしまった。果たして、あと何年後ぐらいに日本でも入れ墨が流行するのだろうかと。
坂本鉄男
(2018年7月8日『産経新聞』外信コラム「イタリア便り」より、許可を得て転載)