6月2日はイタリアの共和国成立記念日だ。第二次世界大戦後の1946年6月2日と3日の両日、イタリアで王制を選ぶか共和制を選ぶかの国民投票が実施され、イタリア王国が廃止されイタリア共和国が誕生した。
だが、その差は僅かで、共和制賛成が1271万票、王制賛成が1071万票、白紙・無効票が149万票であった。北伊の都市部では共和制が勝利したのに対し、南伊では王制が優勢で、例えばナポリでは共和制賛成25万票に対し王制賛成が90万票というありさまだった。
共和国記念日の6月2日は、国民休日として76年までは毎年その日に祝われたが、77年の経済危機のとき、労働日を1日失わせるべきではないとして、祝日を6月の第一日曜に移したこともある。イタリア人は理想主義的なところが多いが、現実的な面もある。経済危機に際し国民休日(特に宗教的祭日や連休)を取り消すことはしばしばあった。こういう時には、労働時間に関し常に政府と対立する労働組合も賛成してきた。この点、国民の機嫌をとるためか、祭日や連休をむやみに増やしてばかりの最近の日本とはやや異なる。
共和国記念日が国民休日として、復活したのは、24年後の2001年からである。
坂本鉄男
(2018年6月3日『産経新聞』外信コラム「イタリア便り」より、許可を得て転載)