25日は、キリストの生誕を祝うクリスマス。キリスト教徒にとって最大の祝日である。
キリストが生まれたとされる年が西暦元年に設定され、これより後は、英語ではAD(Anno Domini=主の年)、イタリア語ではd.C(dopo Cristo=キリスト後)などと表される。紀元前は同様にBC(Before Christ)やa.C(avanti Cristo=キリスト前)と表記される。
この西暦元年は、6世紀のローマの神学者、ディオニシウス・エクシグウスが歴史および占星術上の計算を基に割り出した。しかし、キリストの本当の生まれ年は、ディオニシウスが割り出した元年より4~7年早かったというのが今日では定説になっている。また、誕生日とされる12月25日も、古代ローマ時代の冬至を祝う農民の祭日に重ねたのではないかともいわれている。
結局キリストが生まれた日は分からないが、どちらにせよ日本人の大部分にとって重要なことではないだろう。せっかくのクリスマスだ。お父さんが買ってきてくれたクリスマスケーキ、お母さんの用意したごちそうを食べて楽しく過ごそうではないか。また親しい友人と飲み食いしてにぎやかに過ごそうではないか。
坂本鉄男(2017年12月24日『産経新聞』外信コラム「イタリア便り」より、許可を得て転載)