イタリア・ルネサンス-―この言葉の永遠の輝きは、それが生み出した数々の芸術作品・文芸作品のなかにのみあるのではありません。 中世から近世にかけての時代の荒波のなか、古さと新しさを織り交ぜながら新たな発想と精神をもって自らの個性を発揮していく興味深い人物が数多く現れるのもルネサンスの魅力の一つです。 このセミナーでは、ジェノヴァ、フィレンツェ、ローマ等を舞台に、各講師が最新の研究成果をベースにこの激動の時代を生きた人々の生き様をわかりやすく語ります。 人物たちの行動様式から、それぞれの「ルネサンス」を感じて楽しんでください。 | ||||||||||||||||
第5回 ルネサンスの君主の世界― コジモ1世を中心に ― 国家が安定してからは、自らの地位を高めることに集中します。そのために、新しい建築、絵画や彫刻の注文、学問の振興を行い、宮廷を充実させていきます。近世は宮廷の時代でもあり、フィレンツェにおける宮廷の基礎を作ったのもコジモ1世です。 ときには冷酷と思われる手段も使いながら国家を建設し、文化もそのために利用していったコジモ1世ですが、公妃エレオノーラとは相思相愛と言われ、仲睦まじかったといわれています。そんな私生活も垣間見ながら、コジモ1世がどのように激動の時代を生き抜いたかを見ていきましょう。 | ||||||||||||||||
<講師プロフィール> 北田 葉子(きただ ようこ) 明治大学商学部教授。慶応義塾大学文学研究科博士課程修了。博士(史学)。イタリア政府奨学金留学生としてフィレンツェ大学に留学。専門はイタリア近世史。単著:『近世フィレンツェの政治と文化』(刀水書房)、『マキァヴェッリ』(山川出版社)
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