「Tuは何しに日本へ?2016年版」第6回日本語・日本文化講座修了式

第6回日本語・日本文化講座の修了式が8月26日(金)に行われました。「Tuは何しに日本へ?2016年版」として、blog掲載してきたこのコーナーも今日が最終回です。

最初に8月24日にイタリア中部で発生した地震について、お悔やみとお見舞いを申し上げました。

まず本講座の校長でもある日伊協会の山田専務理事より今回の総括をいたしました(当日は申し上げなかった点も補充しました。)
「今年は13名(女性9名、男性4名)、大学もイタリア中から4つの大学(ボローニア大学、インスブリア大学、ナポリ国際大学、パヴィア大学)からの学生を受け入れました。また昨年、一昨年受講された学生さんが3年目の今年も引き続き受講されました。

今年は最初から波乱含みで、インスブリア大学の4人組が、来日のフライトにトラブルがあり、航空会社やルートが変わり、予定より13時間も到着が遅れた上に、到着客が全部出てきたのに4人はなかなか出てこない。原因は、1人の荷物が行方不明となり、その手続きに時間がかかったのでありました。彼女らは、4人一緒だったので、少しは心強かったとは思いますが、本当に大変でした。ホームステイ先に到着したのは次の日の午前2時ということで、富山県赤坂会館組の2人とご自宅にホームステイする2人を送り届けていただいた尾池様には、ただただ感謝です。

今年は、8月11日に「山の日」という祝日が創設され、8月22日には台風の襲来があり、講座を実施できない日が2日もありました。また今年の夏は天候不順であまりよくない条件がありました。何人かのイタリアへ帰るフライトが予定されている日にも台風の襲来が予想され、最後まで安心できませんでした。

しかし日本語の学習と文化講座、会社訪問、見学については、ますます充実したカリキュラムを組むことができたと考えています。また、落語を除く日本文化講座や会社訪問をすべて日本語で説明を受け、それを理解する形も定着してきました。日本語のシャワーを浴び、これにより自分達から日本語に積極的に向かっていくという側面がさらに強く出て来ました。一つの例が東大茶道部との交流であり、昨年から始まった茶会の後の学生同士で質問をしあう場では、大学を卒業したら何をやりたいか?というようなかなり突っ込んだ質疑がありました。

文化講座は、浴衣着付け(イルフィオーレの皆様、髪飾りーハツヤ様、かんざしの寄贈―古賀様)、華道(高橋様)、書道(高橋様)、茶道(東京大学茶道部)、落語(三遊亭竜楽師匠)は例年のラインナップで実施されました。日本料理は、イタリアへ帰っても作れるような典型的な家庭料理(おにぎり、みそ汁、肉じゃが)を教えていただきました(大井様、岡田様)。剣道を今年は実施できなかったことは残念でありました。歌舞伎がお目当ての「東海道中膝栗毛」の切符が取れず、自由参加で幕見に並ぶもこれも売り切れで、結局踊り一幕を見ることで終わりましたが、歌舞伎座の雰囲気は十分に味わえたのではないかと思っています。

会社訪問は毎年訪問している資生堂様には台風のため訪問できなかったことは準備をしていただいていたのに誠に申し訳ありませんでした。Tutta Italia様には以前にもお伺いをしたことがありましたが、今年復活して、あいさつの仕方など日本の会社の流儀を習うユニークな経験をさせていただきました。日本ユニシス様には今年新しくお願いしました。差し迫った日程でお願いしたにもかかわらず周到なご説明をいただき、学生たちも日本のITの大企業に触れる良い経験ができたと思います。加えて豊洲にある社屋の最上階から東京の臨海部やスカイツリーの眺望を楽しみ、また近くの商業集積施設【ららぽーと】でリオのオリンピックで活躍した同社のバトミントンチームの子供たちとの練習風景も見せていただくことができました。

見学としては、サンリオピューロランド、Hondaウェルカムプラザ青山、伝統工芸青山スクエアは定番となっております。相撲部屋(荒汐部屋)の朝稽古見学も復活しました。外からの見学となりましたが稽古後力士と一緒に写真を撮らせてもらいました。浴衣を着ての法政大学の音楽イベント『奏』に参加する計画は雨のため中止となったことは残念でありました。



講座外にも学生たちは、バイタリティあふれる行動力で、東京の各所に赴き、また東京の町だけでなく、京都や鎌倉、江の島、横浜などにも出かけて、日本を楽しみました。

学生が増えたことからホストファミリーも7家族(神田、北村、油田、柴田、宮本、関、尾池の皆様方)にお願いすることになり、ご苦労をお掛けしました。文化講座も会社訪問も関係者の方々には、特に日本語で説明していただくことで却ってご苦労をお掛けしましたこと、この場を借りて御礼申し上げます。

5人の日本語講座の先生方も午後の文化講座や会社訪問に関連する情報を講義の中で盛り込んでいただき、ご苦労をお掛け致しました。Valerio主任講師には講座期間中のみならず、事前での学生の募集、学生からの問合せメールのやり取り、スカイプを使った事前のガイダンスを始め、準備段階からご尽力賜りました。

事務局も加藤さん始め、沢山の皆様のお力を借りてこの講座を無事修了することが出来ました。さらに来年も日伊交流のこの事業がますます発展するように願っております。」

次に日本語の講師(小峯とも子、増田裕子、長谷川由香、新谷あゆり、瀬楽智)の5人の先生方からそれぞれお話をいただきました。終了式終了後教師会議で総括をしていただいたものを小峯先生からいただきましたので、その一部を引用して、それぞれのごあいさつと講評のまとめとさせていただきます。

「13名の学生との5週間におよぶ夏期日本語集中講座を大過なく終えることができました。レベル別のクラス分けは中級と初級の2クラスで行いました。中級の「ひまわりクラス」はこれまでで最多の9人、3つの異なる大学からの学生で構成されていました。日本語力にも少なからぬ差がみうけられましたが、途中クラス換えを希望する学生もなく、それぞれ自助努力を重ねたり、クラスメートやホームステイの家族に助けられたりしながらがんばってついてきていました。

インスブリアの学生は4人だけで初級「あさがおクラス」を構成することができ、4人一丸となって日々向上していく様はあっぱれでした。「げんき 第1巻」の文法、会話、語彙、漢字(約100字)を見事にやりこなしました。

いつの日か学生たちの胸に今回の講座が良い思い出となって去来することを願ってやみません。13名のイタリア人学生との楽しい5週間をありがとうございました。」

続いて、学生達による日本語劇の発表が行われました。初級クラスは、「ネズミの嫁入り」、中級クラスは「古事記」でした。学生達が脚本を作り、台風で1日練習日がつぶれたのにもめげず熱心に練習した結果は、5週間の日本における研修の成果を十分に発揮したものでした。最後はみんなで安室奈美恵の「Hero」を歌ってくれました。

(また席上学生たちが作成した文集が配られました。各自の自己紹介、東京観光プラン、自分の町の紹介、土地の名物料理、祭り、そして最後に「日本とイタリアの違い」について、立派な日本語で書いています。毎日のブログも一生懸命に書いてくれました。話す能力も向上しましたが、書く能力の向上が著しいように見受けました。)

第二部は日伊協会作成の手作りビデオ上映で始まりました。これは協会スタッフがこの一か月撮り溜めた写真やビデオを編集して講座の模様を振り返るものです。

続いて、修了証の授与式があり、山田校長から、一人ひとりに修了証を授与しました。続いてホストファミリーへのお礼の贈呈、記念撮影とイタリア料理によるパーティが行われました。乾杯の前に、この講座の期間中に3人が誕生日を迎えていましたので、みんなでお祝いをしました。来年度以降も本講座がますます発展進化していくことが再認識された式でした。
(山田記)