第5回 ヴェネツィアの祝祭 ― オペラと劇場 ― |
高雅で洗練された様式と君主の資金をもとにフィレンツェで生まれた音楽劇は1637年、ヴェネツィアに到来して以降、新機軸のスペクタクルへと変貌し市内で異常な流行を呈していく。オペラと呼称されたこの新種の娯楽は合理性と利潤を追求する一群の企業家集団の手で作りかえられ、この世紀中、人口僅か14万人の市内で16のオペラ劇場と360本余のオペラが誕生する。ヴェネツィア興業界で発案されたオペラの諸要素、つまりボックス席、興行主制度、有料公衆劇場、機械仕掛けや舞台転換技術などは、オペラが西欧各地に伝播する上で必須の要素となるが、絶対君主制が台頭する17世紀ヨーロッパでオペラが君主の専有物ではなく、その成立と発展に市民層の需要と嗜好が関係した状況はヴェネツィア以外に例を見ない。そこで今回は17世紀ヴェネツィア・オペラの社会的背景、劇場、興行の様相等を通して<祝祭とオペラ>について考えてみたい。 |
講師紹介:■<講師プロフィール> 田島 容子(たじま ようこ) イタリア音楽の研究で日本第一号の博士号を東京芸術大学から受ける。イタリア音楽学会(ローマ)正会員、ドニゼッティ研究所共同研究者、日本オペラ振興会でオペラ史の講義を通して後進の指導に当たる。日伊協会評議員。イタリア・バロック音楽文庫としてイタリア・オペラの初版譜、稀覯本を多数収蔵、解読と分析を行う。専門テーマは「17世紀ヴェネツィア社会と芸術」、「ロマン主義とオペラ」 |
申込名 | 開催日 | 時間 | 会場 | 参加費 | 備考 | |
S-SF5 | 7/22(金) | 18:30–20:00 | 青山 石川記念 ルーム 201 | 一般/受講生 | 3,000 | 終了 |
日伊協会会員 | 2,000 |