テレビのクイズ番組などの出場者の中に肩や手首に入れ墨をしている奇麗な娘さんを見るたび、「今にこの入れ墨を消し取るのに苦労するだろうに」と余計な心配をしてしまう。
昨年11月、ある全国紙が国立高等衛生院が行った8千人のサンプル調査の結果を公表した。
これによると、調査対象になったイタリア人女性の13・8%、男性の11・7%が体のどこかに入れ墨をしていることが判明した。
体の部分別で多いのは、女性が背中、くるぶし、足の甲で、男性が肩、腕、脚だという。
また、別の調査によると12歳から17歳までの未成年者の7・7%が入れ墨をしているが、これの多い少ないは各州の規制によるそうだ。
例えば、マフィアで知られる南伊のシチリア州では一見多そうに思われるが、実際は未成年者の入れ墨を厳禁しているため統計上では「0%」だ。
また中伊のトスカーナ州では14歳以下の入れ墨は禁止で、未成年者には親の許可が必要との条例がある。また、皮膚科医たちは入れ墨した人の3%が痛み、腫れ、皮膚の異変などを訴えているとして、入れ墨をする前の熟慮を勧めている。
それにもかかわらず、イタリアで入れ墨をする若者は急速に増えている。
坂本鉄男
(2016年3月20日『産経新聞』外信コラム「イタリア便り」より、許可を得て転載)